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歴戦の騎士  作者: 若葉
四章 ガルトの旅
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ヒフキヤマ王国へ

それからガルト達は7日かけて、ヒフキヤマ王国を目指した。道中、魔物の襲撃もあったが、ガルトとジュラドが撃退し、比較的安全な旅を送ることができていた。


現在、ガルト達は【焔の大山】を登っている。そこから目に写るのは、ヒフキヤマ王国の王都、【王都ボルケーノ】だ。


「ここがヒフキヤマ王国なんですね…それにしても、ヒフキヤマ王国の国境には検問所がひとつもありませんでしたが、なぜなんでしょうね。」


ジュラドが呟くと、王都の使者が答えた。


「ヒフキヤマ王国は鍛冶で成り立っている国家です。そのため、観光客が訪ねやすいように検問所を王都のみにしているのですよ。」


(なるほど、商売を生業としている国ならではの政策なのか。)


ガルトは心の中でそう呟いた。そして、いよいよ王都ボルケーノの検問所が見えてきた。


検問所へつくと、数名のドワーフが迎えてくれた。


「ん?お前さん方、王都の使いか。何をしに来た?」

「キングス国王の命により、ヒフキヤマ王国の国王と会談をしたく参りました。」

「了解した。国王、アカツチ様に伝えておこう。」


門番がそう言うと門が開き、いよいよ王都ボルケーノへ入ることができた。


ガルトは馬車の窓から外を見る。そこには、鍛冶をしている最中のドワーフや、他の種族が品物を買っている様子が見られた。どの品物も繊細で、とても美しいものであった。


「…良い素材が使われているな。ラグーナの鍛冶屋と負けず劣らずだ。」

「ラグーナの鍛冶屋もドワーフが運営してましたからね。」


そうしてしばらく馬車が走ると、立派な宮殿が見えてきた。これこそがヒフキヤマ王国の王城、【ボルケーノ城】である。


「…立派な城だ。」


城のすぐ横には馬車を止められる場所があり、ガルト達はそこへと馬車を止めた。


「…ひとつ疑問に思ったが、先程検問所で用件を言ったばかりなのに、もう王城へと入っても良いのか?」

「アカツチ国王とライオネル国王はとても仲が良いのです。そのため、事前に連絡無しでも謁見ができることをお互いに契約しているのです。」


使者がそう答えると、ガルトは「そうか」と言って馬車から降りた。ガルトに続いてジュラドも降りる。


それから、ガルト達は城の門をくぐり、いよいよ城の中へと入った。城の中は豪華で、たくさんの武具が置かれていた。ガルト達は床に敷いてある赤いカーペットの上を進んでいく。


しばらく進むと、ひときわ豪華な扉に辿り着いた。その扉の前にいる、槍を持った二人のドワーフが口を開いた。


「ここから先には国王、アカツチ様が居られる。」

「了解しました。」


二人のドワーフが門を開き、その奥には玉座に座る、国王らしき人物が見えた。


使者、ガルト、ジュラドは前へと進み、跪いた。


「この度は謁見する機会を設けていただき、感謝いたします。アカツチ様。」

「うむ。楽にせよ。俺は堅苦しいことは嫌いなものでな。」

「はっ………今回謁見させていただく内容ですが、現在、魔族による人族への攻撃が多発しております。そこで、ヒフキヤマ王国を含めた、他種族の協力を要請しに参りました。」

「なるほどのう…」


国王は腕を組み少し考え込んだ後、ガルト達に向かって口を開いた。


「近頃の魔族の動きには目に余るものがある。我らドワーフの採掘場で、功績を盗むという報告もいくつか上がっている。我らドワーフもそろそろ看過できんと思っていたところよ。有事の際は我らの軍も協力することとしよう。」

「ありがとうございます。」


そして、その謁見の場に、大きな音を立てて扉を開けてきた、大きなハンマーを持った一人のドワーフが来た。


「ん、なんだ。客人か。アカツチ様もお忙しいこった。」

「ダイモン……客人の前だぞ。」

「悪ぃ。俺ぁ礼儀なんてモンは教わってねぇ。かれこれ数百年生きてんだ。今さら覚えられるかってんだ。」


そして、アカツチはガルト達の方へと向かって言った。


「もう跪かなくても良い。あの無礼者を許してくれ。彼はダイモン。ドワーフの英雄といわれているが、実際はあんな調子で、いい加減な男だ。」

「おう。俺がダイモンだ。俺ぁ昔、このハンマー1本でアースドラゴンを瀕死に追い込んだ。それで王国の危機を回避したことで、英雄扱いされているわけだ。ま。本当は仕留めたかったんだが、ほぼほぼ相討ちになっちまったって訳だ。」


すると、ダイモンはハンマーを置いてガルト達に握手をしてきた。


「おう、兄ちゃんらよろしくな。」

「ええ。こちらこそよろしくお願いします。」

「…あぁ。」

「よろしくお願いします!」


ジュラドは元気よく挨拶をしたが、ガルトは返事をしただけであった。ガルトはダイモンの目をみていた。ダイモンの目からは重圧が感じ取れた。こちらが押し潰されそうなほどに。


(これは…なんだ?みたことがない色だ…)


「ん?兄ちゃんどうした?俺の顔になにかついてるかい?」

「…あぁ、なんでもない。」

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

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