修行Ⅱ
日が暮れるまで剣を振り続けた四人はクタクタになって倒れこんでしまった。
(まぁ、この程度だろう。)
「今日はこれまでとする。明日は闘気を習得して貰おう。」
「えっ……明日で?」
「…そうだ。」
四人は顔を青くしている。
「が、ガルトさん、闘気は1日で覚えられるものでは……」
マサがかすれた声で言うが、ガルトは首を横に振った。
「問題ない。基礎的なことならば1日で覚えられる。さぁ、村へ帰るぞ。」
(……ん?「帰る」?何故俺は帰ると言ったんだ……?ここは俺の村ではないと言うのに…)
ガルトは自然と出た自分の発言に疑問を抱えながら、四人を連れて村へと戻った。
~二日目~
「よく休めたか?」
その日は朝から五人が集まっていた。ガルトの問いに対して、四人が「はい!」と言って大きく頷いた。
「今日は闘気について教えよう。前回少し語ったが、闘気と言うものを説明する。」
そういってガルトは大木の前に立った。
「【闘気解放・無】………」
ガルトは闘気を解放した。
「闘気はオーラとも呼ばれる。俺の体から出ているものが闘気だ。闘気は魔力を消費せず、体内のエネルギーを使う。簡単に言えば、体力だ。そして、闘気の基本的な使い方はこうする………」
そう言うと、ガルトは大木に対して、正拳突きをした。みるみるうちに大木にひびがはいり、なんと、粉々に砕けてしまったのだ。
「す、すげぇ……」
驚いて声を出したのはドランであった。
「今のは闘気を使い、拳の威力と硬度を上げた技だ。闘気は身体能力を上げる他、このように物を硬くすることができる。武器や鎧も同様だ。お前達にはこれを覚えて貰う。」
「あ、あの、少し良いですか?」
手を挙げたのはリナであった。
「なんだ?」
「その、スキルとかは教えてくださらないんですか?」
(スキル……か。)
確かにこの世界にはスキルがある。ガルトは数百のスキルを会得しているが、そこから我流の剣術を生み出した。ガルト自身、スキルを使っていたのは修業時代であって、今は全く使ったことがない。
「……使いたいか?」
「は、はい!!」
元気の良い返事を聞くと、にガルトは剣を抜いた。
「今から初歩的なスキルをみせる。そうだな………これが良い。」
ガルトは木に向かって走ると、一気に高く飛び上がった。
「【十字斬】」
ガルトは木を十字に切る。そして………
「【嵐斬】」
ガルトは螺旋状に回転しながら切り裂く。
「これが、基礎的なスキルだな。」
「す、すごい……」
リナが特に目を輝かせて見ている。その眼の奥には、眩しい程の光が写し出されている。
(光………いや、越えている………。素質は十分にある。)
「ふむ……なら、闘気はまた後日教えるとしよう。今日はスキルを覚えて貰おう。」