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歴戦の騎士  作者: 若葉
四章 ガルトの旅
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修行

ガルトが使者へ返事を返し、ふとドアの横を見る。リナ達へ買ってきた剣とナイフが目に写った。


「ふむ………悪いが、三日待って貰えないだろうか。」

「何かご用事が?」

「あぁ。教え子に指導をしなくてはいけない。遠出をするとなると支度も必要だ。三日後の朝、またここへ迎えにきて頂こう。」

「承知致しました。国王陛下にそう伝えておきます。」


そういって使者は馬車へと乗り込み、ミート村から去っていった。

そして、ガルトは森の方へと向かった。昨晩、ガルトがリナの両親に聞いたところによると、リナ、ドラン、キッド、マサの四人は森の中で特訓をしているのだとか。畑仕事を放り出すリナに、両親は少し困っている様子であった。


(リナの両親に恩を返す為にも、俺が動くべきか……)


ガルトはそう思いながら、森を進んでいく。時刻は昼。森は光に満ち溢れている。この森は前回フォレストドラゴンが出た森だ。フォレストドラゴンが出た影響で、森の魔力がとても高くなっている。そのため、希少な薬草が多くなり、魔物の殆どがフォレストドラゴンに恐怖して居なくなるという、珍しい現象が起きている。簡単に言えば、希少素材が豊富で、極めて安全な森、ということだ。


「ん……あれか。」


ガルトは森の中で木の棒を振り回す四人を見つけた。


「………何をやっているんだ?」


ガルトが見たのは、樹木に向かって木の棒を何度も叩きつけているリナ達であった。


(悪くはないが……あれでは実践には使えない………)


ガルトは少し呆れた様子でリナ達に近づいた。


「あ、ガルトさん!!」


一番最初にリナが気づく。それからキッド達も駆け寄ってくる。


「ガルトさん、どうしたんですか?」


マサの問いに対してガルトが答えた。


「…剣の指導をしに来た。お前達に教えると約束したからな。」

「本当ですか!?どんな練習をするんです?」


キッドを無視して、ガルトは手頃な棒を手に取った。


「…生憎、俺は人に剣を教えられたことはない。全て我流だ。俺の指導は一つ。四人同時にかかってこい。俺に1本入れてみせろ。それだけだ。」

「え、基礎的な練習はしないんですか?素振りとか。」


ドランは首をかしげて言った。


「実践が何事にも一番だ。模擬戦を行うことで基礎的な技術は身に付く。さぁ、かかってこい。」


そういってガルトが構える。それと同時に四人も構えた。


「いきますよ……ガルトさん!!ハァッ!!」


最初に攻撃してきたのはキッドだった。勢いの良い上段からの攻撃。しかし、ガルトには当たらず、キッドは腹を蹴られてしまった。


「グハァッ!!」


キッドが草むらへ転がる。


「遅い。それでは対人戦には使えん。常に攻撃と防御のバランスを意識しろ。」


次に来たのはドランだった。ドランは下から滑り込み、ガルトの足を狙った。


「ハァッ!!」


ドランが棒で叩こうとするが、ガルトは上に飛び、ドランの頭へと棒を振り下ろした。


「グエッ!!」


ドランは倒れ込み、ピクピクと痙攣している。


「攻撃方法は悪くない。防御を意識しろ。」


次にマサとリナが同時に来た。


「ほう、一人ではなく二人で来るか……悪くない。」


この時、ガルトは初めて自分から走り出した。そして、マサに足をかけて転ばせ、蹴り飛ばす。同時にリナの胴へと棒で一撃を入れる。二人も草むらへと転がってしまった。


「ふむ…二人で来ることは良い。だが、お互いの息を合わせなくては成り立たない、困難な技だ。」

「うぅ……ガルトさん強すぎますよ………」


マサが泣き崩れたような表情を浮かべる。


「今から夕方までこれを続ける。さぁ、こい。」

「えっ……!?」


四人全員が同じ言葉を発し、顔が青くなった。

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