二十五話 帰路
その後、ガルトは王都の復興を少し手伝った後、ミート村に帰ることにした。
「もう行ってしまうんですね…」
ガルトを待つ馬車へと向かう途中、ジュラドが寂しそうに言った。ジュラド、アクエス、ルシアが見送りに来てくれたのだ。
「あぁ。あまり長居しても皆を心配させるからな。今回はこれで帰ることにした。」
「俺…絶対にミート村へ行きますから。その時は、俺に闘気の使い方を教えてください!」
(ふむ…ジュラドには才能がある。ひとつ、アドバイスをするか。)
「ジュラド、闘気を使うには修行が一番だ。だが、お前には才能がある。お前に足りないのは気力だ。」
「えっ、それはどういう……」
ガルトがジュラドにアドバイスをしたところで、馬車へとついてしまった。
「では俺は帰る。何かと世話になった。」
「…今度はゆっくり、貴方と王都を回ってみたいものです。またお会いしましょう。」
アクエスは少し笑っていた。
「そうですね。また、王都へいらしてください。」
ルシアも同じく笑っていた。
「ミート村へ行くときはよろしくお願いします!」
「…あぁ。」
ジュラドは熱意に満ちた眼でガルトを見ていた。そして、帰りの馬車が走る………
…夕方になった頃、ひとつの馬車がミート村へと来た。
「お疲れ様でした。ご到着です。」
「世話になったな。」
ガルトは一礼をし、ミート村の門を潜る。たった数日居なかっただけなのに、懐かしく感じた。
門を潜ったところで、ガルトは殺気を感じた。そう、アースドラゴンと戦ったときのような殺気を………
「………貴様がライデンを撃退した強者か……」
「……お前は何者だ?」
ガルトは後ろを振り向く。そこにいた男は、見慣れない鎧と、見慣れない武器を持っている。
(この男……音もせずに俺の後ろへと来たのか。過去に見たことの無い強者か……)
「…答えられぬのか。貴様がライデンを撃退したのだな。良かろう…ここで我が屠ってくれよう……だが、貴様の背後には村がある。我とて鬼ではない。村から離れたところで殺してくれよう。」
「…何が目的だ?」
「魔王様が直々に貴様の殺害を命令されたのだ。よって、我が貴様を殺す。」