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歴戦の騎士  作者: 若葉
三章 王都
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二十話 死気解放

「死気……解放……?グッ…………これは………!?」


(奴がスキルを使用した途端、周囲が黒い煙のような物で覆われ、空気が重々しくなる。【死】を間近に感じる。なんだこれは。)


 ガルトは地面に膝をついてしまった。まともに立つことができない。


「ふふふ………まともに動けそうもないようデスね………おいで、僕の可愛い可愛いアーティファクト、【冥王の大鎌】。」


 そういうと、デスは暗闇から大鎌をとりだした。


 アーティファクトとは、失われた技術で作られた物だ。武器や、機械等がある。ガルトの【歴戦の剣】もアーティファクトの一つだ。


(冥王の大鎌………かつて冥王と呼ばれた者が使用していた武器か………そういえば……冥王は特殊な【気】を使うと書いてあったような………これがその特殊な気、【死気】なのだろう。この中ではもはやまともに動くことすら敵わん。)


「こうなったら僕のターンデス………」

「………どうやら手を抜くことは出来ぬようだ………」


 ガルトはそういうと立ち上がり、剣を構える。


「?なんで動けるんデスか?」

「俺も少しは鍛えている。立つことぐらいは可能だ………」


 ガルトは深く深呼吸をし、闘気を解放する。


「【闘気解放・無】………」

「闘気を解放したところで長くは持たないデス。もうお前の負け、僕の勝ちデス。」

「さぁ……それはどうだろうな。」

「?」


 ガルトは闘気を脳に巡らせる。気分がいい。


(やはりこれは精神に干渉してくるタイプのスキル………ならば……)


「【闘気剣術 不動の型】………」


【闘気剣術 不動の型】……それは、ガルトが編み出した技の一つ。精神に闘気で壁を作ることにより、

 精神に干渉するスキルを無効化することが出来る。


 不動の型を使った途端、ガルトの体はずいぶん楽になった。というよりも、全く苦しく無くなった。


「な、何故動けるんデス!?というより、さっきよりも元気に………」

「なに、闘気で精神に【壁】を作っただけだろう。初歩的な闘気操作だ。」

「ハ、ハァ?闘気で壁……?何を言ってるんデス?……まぁいいデス。ここでお前を殺せばいいだけの話デス!!」


 そう言うと奴は大鎌を振り上げ、ガルトをがけて飛ぶ。


「死属性の力、見せてやるデス!!死ぬのデス!!」

「奇遇だな。俺もお前を殺さねばならんようだ。一切の容赦をせず、確実に殺す。」


 ガルトは飛びかかってきたデスを、盾で思い切り弾く。金属がデスの骨に当たる、鈍い音がした。


「グハッ…………なん…で…!!ここまで動けるなんておかしいデス………!!なら………!!」


(デスが魔方陣を出した。こいつは魔法スキルも使えるのか。死属性の魔法はどのような魔法なのだろう。俺の予想は、()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()を持っている可能性が高い………)


「来い………僕の可愛いペット達ィィ!!」


 巨大な魔方陣が上空に現れる。同時に、地面から骸骨や豚のような骨、様々な骨の魔物が現れた。


(やはり、この骨の魔物はこいつの能力だったか。)


「【闘気剣術 斬撃無双の型】」


 無数の斬撃で骨を砕いていく。数は多いが、1体1体が脆い。


(これならばすぐに倒せる。今の時点で、千体ほど倒したか。1/3程度は倒せたか。)


「な、なんなんデス………ここまで、僕の能力が破れるなんて………」


 気がつくともう動いている骨は居なかった。


「………あとはお前だけだ。」

「こんなの……認めない、認めないデス!!!」


 再び大鎌を振るう。ガルトは寸前で交わす。

 剣を奴に当てようとするが、デスも速い。中々当たらない。


(ふむ………反射神経が良いのか?こちらの攻撃を全て回避している………才能か。)


「まだまだ止まらないデスゥゥ!!!【デス・カッター】!!」


(赤黒く、大きな斬撃を三つ飛ばす。なるほど。冥王と同じ技を使えるのか。あの大鎌の能力というわけか。)


 斬撃を軽く避けると、今度はガルトが斬撃を放つ。


「【闘気剣術 一撃必殺の型】」


 ガルトは白銀に輝く斬撃を、一つ飛ばした。【一撃必殺の型】は、斬撃としても使うことが出来る。応用が効くように編み出したのだ。


 白銀の斬撃は、赤黒い斬撃を全て打ち消し、デスに届いた。斬撃は止まること無く、デスを後ろに吹き飛ばすと同時に、血が飛び散った。


「グワァァァァーーーー!!!」


 デスは断末魔の叫び声を上げる。辺りが砂埃で見えない。だが、気配でわかる。奴はまだ死んでいない。


「グ、グフゥ………この……!!」

「………瀕死、といったところか。」

「き、今日は退散するデス………覚えていやがれデス………」


 デスは黒い煙と共に消えた。同時に、勇者達の方向の敵の気配も消えた。奴らは逃げた。王都は守ることが出来たのだ。

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