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歴戦の騎士  作者: 若葉
三章 王都
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十五話 王都ラグーナ

 広い草原を、一台の馬車がガタガタという音を立てて走っている。乗っているのはガルトだ。


「もうすぐ王都ラグーナへと到着致します。出発の準備を。」

「あぁ。承知した。」


 ガルトは今、馬車に乗り、ミート村から王都ラグーナへと向かっている。ラグーナはこの国では一番栄えている都市で、武器、本、学校、何でもある。


 何故ガルトが王都へ向かっているかというと………















 ~フォレストドラゴン討伐から五日後~


「王城からの呼び出しだと?」

「ええ、ガルトさんに王城から、フォレストドラゴン討伐の勲章を授与、そして、報償金を渡す、とギルドへ通告がありました。3日後に王城から使者が来ます。ガルトさんは王城へ向かって頂きます。」

「ふむ………」


(フォレストドラゴンを倒した程度で王城へ呼び出されるとは。……そういえば、この国には六人の勇者がいるのだが、勇者たちはなにをしていたのだろう。これ程事態だというのなら、何故勇者たちは来なかったのだ?まあいい。それも、王城へいけばわかるだろう。)


「承知した。3日後だな。準備をしておこう。」


 ガルトはギルドを後にし、リナの家へと向かう。










「………と言うわけでな。暫く俺は王都に滞在する。3日後に出発する。」

「な、なるほど………」

「すごいじゃあ無いか、ガルトくん!君は竜殺しの英雄じゃないか!!」


 リナの父、アインが歓声をあげた。


「胸を張って行ってきな。村のことは私らに任せて、思いっきり行ってきな!!」


 リナの母、バーナも俺の背中を押してくれたので、俺は王都に行く決心がついた。








馬車の中でガルトは経緯を振り返っていた。


(………で、今に至るわけ、か………最初は復讐のために得た剣技だったが、まさか俺が英雄になるとは………人生、わからぬものだな。)


 そう考えていると、目の前に大きな門が見えてきた。獅子の顔が彫ってある、大きな、立派な門だ。


「こちらはオオジシ門と言いまして、王都ラグーナの象徴なのです。」

「……ふむ。」


「通行証を拝見。よし、行って良し。通行証を拝見………」


 門番が通行証を確認し、次々に人がラグーナへ入っていく。そして、ガルトが乗っているの馬車の番となった。


「おお、これはこれは、王城の使者殿。客人ですかな。」

「ええ。彼がフォレストドラゴンを討伐した、我が国の英雄ですよ。」

「な、なんと………今、我らがここに居られるのは騎士殿のお陰です。民を代表し、感謝を申し上げます!」


 門番一同はガルトに敬礼をした。


「………俺は、村を守ったまでだ。礼を言われる程のことはしていない。」


「では、そろそろ……」


 使者が門番に言った。


「これは失礼。長々と引き留めてしまいましたな…さぁ、お通りください!」


「さぁ、着きました。お降りください。」

「……あぁ。」


 ガルトは馬車から降りて、王都ラグーナへ足を下ろした。王都ラグーナは何もかも、規模が大きい。

 大きな家、ギルド、そして、奥にそびえ立つ王城。


「王都は始めてですかな?」

「あぁ。」

「国王との謁見の時間もあります。王都でのお買い物はお楽しみにしておいて、今は王城へ向かいましょう。」

「だが、俺は金は…………」

「………心配なさらずとも大丈夫ですよ。」


 使者はニコッと笑ってそう言った。


(………金の心配がない?どういうことだろうか。)


 そこから歩いていき、王城へたどり着いた。王城前には立派な橋がかけられている。王城にも、やはり獅子の顔が彫ってある。


 ガルトと使者は城の門を潜り、中へと入る。美しい池の中には、魚が泳いでいる。


「立派な城だ……」

「そうでしょう。ここは我が国の誇りとも言えるべき城です。さぁ、王の間へ行きましょう。今日は我が国の勇者様方も立ち会います。」

「勇者………」


 ガルトが前に倒してしまった、風の勇者も居るのだろうか。


(向こうの勘違いとはいえ、いるのならば詫びを入れねばならんな。)











 ガルトは城の中に入り、王の間へ向かう。使者は、「私が指示を出しますので、国王の前に行ったら、跪いてください。」と言った。





「竜殺しの英雄、ガルト様のご到着!ガルト様のご到着!!道を開けてください!」


 使者がそう言うと、周りに居た兵士が道を開け、赤いカーペットが見えるようになった。ガルトはそのまま進み、使者が跪くタイミングで、ガルトも跪いた。


「………余がアストラル国の王、ライオネル・キングスである。苦しゅうない、楽にしてくれ、英雄殿。」


 玉座に堂々と座った国王は、ニコニコとした笑顔で迎えてくれた。


「お招き頂き、光栄に思います。」

「よいよい、堅苦しい言葉遣いはやめじゃ。余は貴殿に感謝を言いたいのだ。」

「感謝……?」

「うむ。まずは詫びをいれさせてほしい。本来なら、我が国の勇者が対応すべき厄災級の魔物を貴殿に任せてしまったこと、申し訳なかった。そして、我が国の民を救ってくれたこと、真に感謝を申し上げる。」


 国王は深々と頭を下げた。


「………俺は村を守りたくて守った、自分の意思でやったまでです。感謝を言われる程のことでは……」

「………貴殿は謙虚だのう……もう少し見栄を張っても良いんだがな………」


 国王は苦笑いしながらそう言った。


「ま、まあ良い良い。とにかく、全国民は貴殿に感謝しておる。どうだろう、貴殿は国に仕えるつもりはないか?」

「国に……?」


(何故唐突に仕官する話が出てくるのだ?この国には多くの兵も、六人の勇者も居るというのに。どうして俺を国の力に加えたいのだろうか。)


「何故俺を……?」

「………うむ、実は、今回のフォレストドラゴンとの一件にも関わることなのだ。貴殿には説明せねばいかんな……」

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