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歴戦の騎士  作者: 若葉
一章 放浪
14/67

決着

 ガルトが修行を開始してから100年がたった頃、ガルトの体に奇妙な変化が現れた。


「ハァッ!!」

「ギギャァァ!!」


 その日もガルトは剣を振っていた。いつもと変わらない、魔物と戦っている時だった。


 不意に、ガルトは体から何か、とても大きな力が沸いてくるような感覚を覚えた。


「な、なんだ!?」

「ギャァァ!!」


 魔物がこちらに向かってくる。ガルトはその力を剣に込め、魔物を切った。


「ギャァァァ………」

「こ、この力は……?」


 一撃で両断することが出来たことを覚えている。ガルトはその後本でその力の正体を調べた。


 そこで初めて、【闘気】の存在を知った。


 闘気とは、厳しい修行の過程で得られるものであり、武具に纏わせて一時的に強化したり、あるいは肉体そのものを強靭なものへと変えることもできる。


 それからさらに100年、俺は闘気を探求し、ようやく自分の納得のいく基礎的な技を幾つか編み出すことに成功した。これは、世界で初めて俺が編み出した闘気の技だ。


この技ならば………あの竜すらも倒せるだろう………
















「【闘気解放・無】………」


 ガルトは闘気を再度、解放する。これからフォレストドラゴンをこの技で倒す。この技に全てをかける。


 ガルトは剣を構え、攻撃の体制をとる。


 体内の闘気が腕に集まり、やがて剣に凝縮されていく………とても良い気分だ。剣が銀色に光る。闘気が貯まった合図だ。


(………いける。)


 ガルトはフォレストドラゴン目掛けて走る。その走りは誰よりも、どんなものよりも速い。まさに疾風迅雷の速度で走る。


 フォレストドラゴンもこちらに向かってくる。が、今のガルトならフォレストドラゴンが止まっているかのように見える。


 フォレストドラゴンが牙を剥き出しにした。噛みつこうとしている。ガルトはそれを横に避け、フォレストドラゴンの首を、目の前にした。


(…今だ!!)


「【闘気剣術・一撃必殺の型】!!」


 俺は両手で剣を握り、フォレストドラゴンの頭を両断した。【一撃必殺の型】は、両手で剣を握り、上段から大きく振る技だ。敵を確実に仕留めるためにガルトが編み出した技のひとつだ。


 この技は闘気を纏わせてから斬るので、大変高威力となっている。大抵の魔物は即死するだろう。


 フォレストドラゴンは声を発することもなくその場に倒れた。頭と首を両断したので、即死している。ガルトの勝ちだ。


「これをゲイルに持っていかなくては…!」


 ガルトはフォレストドラゴンの角だけを切り取り、腰の袋へ入れて走った。急がねば、ゲイルの体力が持たなくなる。






「あっ、帰ってきたぞ!!」


 冒険者達が出迎える。全員驚いているような様子であった。


「これが……フォレストドラゴンの角だ。今から薬を作る。どけ。」


 ガルトはギルドの中に割って入った。

 道具は揃っている。まず、フォレストドラゴンの角を小割りにし、すり鉢で粉にする。


 その後に水を液体にならない程度に加え、よく混ぜる………


「これでよい。」

「ほ、本当にこれだけで良いんですか……?」


 ギルドマスターが疑いの目でジロジロと見てくる。


 ガルトは構わず、ゲイルのいる部屋へと駆け足で向かう。


 ガチャリ


「ゲイル。薬ができたぞ。」

「あぁ……?お前、本当にフォレストドラゴンを………?うぐっ………」

「今は何も言うな。辛いだろう。」


 ガルトはゲイルの服をめくり、傷口に薬を塗る。不思議なことに、薬を塗ったとたん、壊死苔のみが消えて、普通の傷と何ら変わらなくなった。


「痛……くねぇ……?」

「ゲイルの仲間にも塗らねばな……」


 俺はゲイルの仲間達の傷にも塗っていった。一先ず、これで死ぬことはないだろう。

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