森の魔物
ガルトはフォレストドラゴンへ向かって走る。狙うは首、そこが奴の急所だ。奴を倒せば周辺の植物系モンスターもおとなしくなることだろう。
「ギャァァァァ!」
フォレストドラゴンが叫ぶ。同時に、植物系モンスターがこちらに向かってくる。
(………仕方がない、まずはこいつらを倒さなくては。)
向かって来たモンスターは三種だ。【ドクモンダケ】、【デスフラワー】、『【イバラバラ】だ。
「ギシャシャシャシャシャ!!」
ドクモンダケが奇声を上げながら、毒性のある胞子を撒き散らす。
「闘気解放………」
ガルトは闘気を使い、胞子を全てふきとばした。
その瞬間にドクモンダケに近寄り、ドクモンダケを乱切りにした。
ドクモンダケを切った直後、シュルルルル……… という音がする。
「……イバラバラ、か。」
こいつは生きた薔薇と言っていい。トゲのある蔓が厄介だ。イバラバラは蔓を鞭のようにして攻撃してくる。
ガルトは茨を切り裂いていくが、イバラバラは再生するのでキリがない。
(………もう数十本は切ったか。まだ再生するとは……)
フォレストドラゴンの力で通常の個体よりも再生力が強いのだろう。普通のイバラバラは百本程度茨を切れば、しぼんでしまうはずなのに。
ガルトは剣を投げ、イバラバラの頭にある薔薇を飛ばした。
「キシュシュシュ……」
イバラバラはしぼんでしまった。その後には、見事な薔薇のみが残っていた。
「ア………アァァ……」
デスフラワーが何かを呟きながら近づいてくる。奴は人の記憶を読み、感情を揺さぶる。精神を崩壊して殺すことを目的とする凶悪な花だ。
デスフラワーがスキルを使う………
「ゲヘヘヘヘ………【記憶解析】…オマエ、父ト母ガイナイナ?」
デスフラワーが奇妙な笑みを浮かべる。
(………気分が悪い。こいつを見ていると、いつも気分が悪くなってしまう。とはいえ、魔物がスキルを使うことは珍しい。興味深い種類の魔物だ。)
「………失せろ。」
ガルトはデスフラワーの触手を切り裂き、花を飛ばした。デスフラワーは声もだすことができず、その場で枯れてしまった。
「…次はお前だ、フォレストドラゴン。」
「グァァァ!」
フォレストドラゴンは上空から降りてきて、地面に足をつける。その風貌は、まさに災害そのものだと言っていい。
フォレストドラゴンがこちらに向かってくる。自慢の牙で噛み砕こうとしている。俺はドラゴンに向かって走った。そして、奴の足元へ回り込み、勢いよく腹を突き刺した。
「ギャァァァァ!」
ドラゴンが叫ぶと同時に、血が滴り落ちる。
(浅い。これでは奴を殺す致命傷ではない。やはり首を狙わなくては。)
「ギャァァァァ!」
ドラゴンが尻尾をブンブン回して攻撃してくる。
ガルトはは剣を抜き、回避するために走るが、フォレストドラゴンの攻撃を喰らってしまった。
「グハッ……」
背中を尻尾で叩かれた。尻尾には何も凶器らしいものはないが、それでも骨にはかなりのダメージが入った。
「フゥ…中々やるな……」
これは少々てこずりそうな相手だ。ここまでの強者も久しぶりに相手をする。体が鈍っている。速く元に戻さなくては。
「……【闘気解放……無】」