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ドブネズミ  作者: 山口 にま
第一章 だからみんなに嫌われる
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二匹目のドジョウはどこにいる

ドローンを使って原発の爆発を撮影した香山誠は、今やちょっとした時代の寵児だ。そんな香山に蛍は二匹目のドジョウを差し出す。

「香山君に助けて欲しいことがあるの。ねえ、政治家のスキャンダルに興味はないかしら」

「そりゃありますよ」

「一大スクープを狙ってまた我が社の名前を全国に広めましょう」

「スクープ?議員同士の不倫ですか」

香山の言葉に蛍は薄く笑った。

「そんな甘っちょろい話じゃないわ。外国人の諜報員に取り入られている政務官がいるの。通牒員と政務官の密会写真を撮るつもり」

香山の目が光る。身を乗り出して

「それ是非やりましょうよ。スパイ防止法のない日本の社会に一石を投じる事になりそうだし」

と協力を快諾する。


今週木曜の夜は上条昇には国会議員としての予定がない。その日蛍と香山は上条の個人事務所前に車で張り込む。運転席には香山。彼はサラリーマンを装って夏物のスーツ姿だ。蛍は絶対に上条から見られないように後部座席で身を屈めている。念のためウエーブヘアのカツラを被って変装した。

夕刻上条は一人で事務所から出て来た。蛍の天敵の秘書達はいない。上条は通りでタクシーを捕まえる。香山は車を走らせタクシーを追う。タクシーは銀座で止まった。上条がタクシーから降りる。香山は路肩に車を停めると徒歩で上条を追った。蛍は運転席に移り、車を走らせた。

上条は老舗の料亭に入った。香山は店の前で張り込みをする。二時間後、上条は同じ年代の白髪頭の男と連れ立って店から出て来た。そのまま香山は二人の男達を尾行する。男達は握手をして別れ、連れの男だけがタクシーに乗った。上条は路上から手を振って男を見送る。


上条は大きく息を吐くと銀座五丁目の方向へ歩き出した。雑居ビルのエレベーターに乗り込む。十階にはバー・水琴窟が入っている。そう、源氏名翠蘭、本名李 朱亜がいる店だ。

「上条は水琴窟へ入った模様。僕も入ります」

香山は蛍にそうメールを打った。そして着慣れぬスーツの襟元を正すと意を決してエレベーターに乗り、十階に向かった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 水琴窟、「その名は翠蘭」では六階になってますよ。
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