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転生したので宿題です。  作者: あおい
8/11

宿題Ⅰ テーブルマナーとあいさつと

更新遅くなりました。

新学期の準備や履修登録の関係です。

「全く、なんで宿題なんか…」

 メリルはベッドに横たわって顔をうずめながらぼやく。

 今の時間は午後九時半。八時に朝食を食べてから三十分休憩した後だ。

 朝食を終えたときにシンから「宿題」と言われたことを思い出して、少し憂鬱になる。

 対して難しい内容はなかった。一緒に食べる相手を不快にさせないように、丁寧に食べろ、と言う事なのだろう。細かいルールはシンも知らなかったので、私が完璧に身に着ける必要もないのだろうと思う。

 しかし、天界で生活していた時は、私が、私たち天使がトップだったので、相手のことを考えるとか、あまりやったことが無かったのだ。私にも一応、目上の天使はいたが、基本的に一緒に食べる機会はなかったし、友達と食べるときは適当にやっていれば誰も気にしなかった。

「わかっていたけど、人間社会って面倒なことがいくつもあるわね…」

 全く、どうしてこんなにたくさん決まりを創れるのかしら。そんな煩わしいことしなくても、自由にすればいいのに…そんなだから、寿命も天使の半分しかないのよ。

「はぁ…面倒ね」

 しかし、このまま何もせずに昼食に向かうと、シンが天界に戻るための協力を続けてくれなくなりそうな気がする。そうでなくても、シンは私が地上にいる間はリル姉さまから給金が出ているから、むしろ転生後の生活を自由にしたいなら私をずっと地上に縛り付けて、それで「全く身に着かないのでまだ教育中です」なんていっておけばいいのだから。

 そう考えると、今のシンの行動は、私をちゃんと天界に帰そうとしてくれているだけましなのだろう。

 過去に、地上に落ちた天使を教育すると言って、天界から給金をもらいつつ天使に何も教えず、そのまま寿命まで天界からの給金で生活した人間もいたことを考えると、シンは特殊な部類に入るのだろうか。

「そういえば、なんで私の面倒なんかみてくれるのかな…?」

 過去の例から、シンも、全く役目を果たさないのは論外としても、もう少し自分の時間に割いて、少しでも長く天界から給金をもらおうとするとか、考えないのかな。

 ―気にしてもしょうがない。今、シンが私を天界に帰そうとしてくれていることに変わりはないのだから、これを利用しない手はない。それに、変にこの話をして、何も教えてくれなくなっても困るのだし、しばらくはこのままにしておこう。

「…そのためにも、宿題、とやらはちゃんとやっとかないと…」

 テーブルマナーと、挨拶。この二つが今回の宿題なので、しっかりとマスターしてやろう。そう考え、体を起こして飛び起きる。

 そして、食器を借りようとリビングに行く。ちょうどシンが玄関に立っていた。

「シン?出かけるの?」

「お、メリル。うん。少し買い物に出てくるよ」

 買い物―食べ物は朝の段階でそろえていたみたいだし、家具や食器ももうそろっている。体をふくものも、最低限そろえてあるし、生活魔法で大体のことはできるので、日本で使っていた髭剃りとかはいらないはず。

「何を買いに行くの?」

 一通りものがそろっている段階での買い物は、おそらく必需品ではなく嗜好品であろうと踏んだ私は、シンに探りを入れてみた。

 あわよくば、私の分も買ってきてもらおう。

「んー、特にこれといったものはないんだが…」

 と、シンは明らかに答えずらそうにしていた。これはあたりかもしれない。

「そっか。それじゃあ、私の分も買ってもらってもいいかしら?」

「メリルの?おう、いいぞ」

 思ったよりあっさりと欲しい答えがもらえたので、ちょっとあっけにとられてしまう。

 てっきり、宿題が終わってから、とか、お前には必要ない、とか言われると思ってたから、いくつも後略を考えていたのだが、拍子抜けだった。

「ん?どうした?」

「いえ、なにも…」

 どうやら顔に出てしまっていたようで、シンに不思議がられてしまった。

 とにかく、嗜好品を手に入れることはできそうなので、成功と言うことにしておこう。一応、このままだと買ってきてくれるかあいまいなので、念押しだけしておく。

「ほんとに、絶対買ってきてね!」

「お、おう。何をかわからんが、買ってくるよ」

「約束だからね!」

「わかったって。約束な。その代り、何買ってきても文句言うなよ?」

「その時は、シンに押し付けるから大丈夫!」

「お前…まぁ、押し付けられないように選んでくるよ。メリルもしっかり宿題やっとけよ?」

「わかってるわよ!」

「それじゃ、行ってきます」

 やや言い合いをしたのち、シンは外に繰り出した。最後に行ってた「行ってきます」も、何か挨拶のようなものなのかしら。

「帰ったら聞いてみよう」

 今考えても、参考書シンがいないので答えは出ないだろう。それよりも、宿題を完璧にして、シンをあっと言わせてやるんだから!

 そう思い、私は食器棚から今朝使った食器を一式取り出して、テーブルマナーをもう一度自分で繰り返した。

短いですが、読んでくださってありがとうございました。

明日からまた(ほぼ)毎日投稿できると思いますので、よろしくお願いします。

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