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俺、今、女子リア充  作者: 時野マモ
俺、今、俺(トゥルーエンド)
331/332

俺、今、俺 宇宙避難完了中

 さて、これで邪魔者たちは全て追い払ったわけだ。

 俺は爆発の収まった宇宙空間を眺めながら思った。

 闇魅と暗きモノたちはパーティの仲間が倒してくれたし、それを影で操っている真の敵についてもこの戦いに手出しができないように追い払うことに成功したようだ。

 ならば、後は宇宙の衝突を交わすことに全力を集中する。

 異宇宙の衝突により、俺たちの宇宙が虚無になることを防ぐ。


 高次元空間より飛び出た3次元の突起qに俺の魔術回路が張り巡らされることになった経緯は前に行ったとおりだが……

 この宇宙が繰り返されるループ中で、その周りの高次元空間にも、少なからぬ量の因果がつながり、俺の魔術も通るようになっている。つまりその操作も俺はある程度可能なのだ。


「……! 何したの?」


 今、宇宙を少し斜め後に動かして、異宇宙の衝突から逃げた。

 その瞬間どんと持っていかれた魔力に、あいつがびっくりして声をあげる。


「大丈夫だ」


 宇宙を動かすなんていう、とてつもないことをするためのエネルギーを、俺たちの体の中にたまる魔力なんかでやっていたら、あっという間に干からびてミイラみたいになってしまう。

 張り巡らせた魔術回路によりこの宇宙全体を魔術炉として動かすための力を得た。その操作だけでも恐ろしいほど魔力が消耗されるとはいえ、そんなものはすぐに宇宙から魔力を充填して復活できる。


「あ、気持ち悪いの……なおったかも」


 でも、これで、真正面からの直撃コースはまぬがれたといえ、まだ宇宙の半分以上がぶつかってしまう状態で、このままでは崩壊はまぬがれない。

 ならば、宣言通り、


「この宇宙のを奴らの因果から切り離す」


 宇宙を切り離す。俺たちの宇宙(プレーン)を、その母体となった高次元空間から切り離し、高次元時空より独立するのだ。全てを虚無に還そうとしていると思われる敵の魔の手は、高次元時空そのものに及んでいる。このままでは、俺たちは滅びの運命に絡め取られてしまう。

 前の人生での冒険で、宇宙の崩壊をただ呆然と見ているだけしかできなかった経験を幾度となく積むうちに、俺はその結論に達していた。

 でも、今までは、その崩壊をふせぐすべは持ていなかったのだったが、


「この宇宙はそうはさせない!」


 今回も、もう少しだけ宇宙を移動させ、衝突の影響を最小化させる手も取ることができないことはない。異宇宙との接触部は今の数分の1以下にして、そこから始まる崩壊の連鎖を食い止めるため、侵食された部分を切り離すこともで宇宙の大部分を助けることもできる。

 しかしだ。俺は確信していた。奴らとの因果を通じ合った時空にいる限りこの宇宙の運命は変えられない。

 俺がしなければならないのは、この宇宙を滅びへの因果から解き放つことなのだ。


 怖い。

 俺は、分離の魔術式を作りながら体のそこから湧き上がるような気持ち悪さに吐きそうになった。

開放されることは恐怖だ。

 だが、それが虚無から逃れる唯一の方法ならば、魔術の秘密の奥に、高次元を包む場の力に俺は乾燥を続ける。

 心が繋がっている女子たちも、俺のしてることかがわかっているので、先ほどまでのオタyらけた様子は誰一人なくなり、顔がどんどんと真剣になって行く。

 いやいや、真剣はいいけど……深刻になりすぎることはないよ。

 だって、俺たちは、今、着実にそれ(・・)をやりつつあるのだから。

 汚染された時空から宇宙を切り離し、それを魔力=多次元宇宙を貫く力の繭で囲む。

 宇宙は、時間も空間からも切り離された魔力の場の中に浮かぶ。

 空間と時間からも切り離された我ら宇宙は、もうその制約にも捉われずに——異宇宙の衝突から遥か離れた場所に一瞬で移動する。敵に捉われないように、次々に移動する我ら宇宙は、あらゆる場所にいて、あらゆる場所にいない。

 そしてついに、敵の因果の届かない、遥か離れた空間に俺はこの宇宙の居場所を定める、


 俺たちの宇宙は、遠く離れた清浄な時空の中で、暗闇の中に煌めく灯火のように、孤高であるが暖かくあたりを照らす。


 ——危機はさった。


 ひとまずはだが。

 とはいえ、流石に敵も、宇宙ひとつをつくってぶつけるなんていう、攻撃をし後では、しばらくはおとなしくしているのだと思う。

 その間に俺たちは仲間とどんな準備をするべきなのかだが、


「……地球に帰るか」


 俺は、戻ってきつつあるセリナやローゼさんたちの姿を見ながら言った。

 宇宙の危機を救うなんて大それたことをやったんだから、さすがに少しゆっくりしても良いよね俺たち。 

 と、思って、そのまま、ダラダラしてたら。あっという間に80年がたって……


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