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俺、今、女子リア充  作者: 時野マモ
俺、今、俺(トゥルーエンド)
330/332

俺、今、俺 攻撃中

「あれは……」


 ちょうど、喜多見美亜あいつに好きな人がいたかについて話しかけたその瞬間、眼の前の宇宙全て覆うような大爆発が起きた。

 敵の壊滅だった。

 今まででも最大規模のの暗きモノの大群。そしてその眷属となった種族たちが多数の宇宙から集結して、女子たちと俺のやっていること——宇宙の避難を阻止しようとしていたのだった。


 しかし、俺には数多くの戦いをともにくぐり抜けた仲間がいた。


 多元宇宙に並ぶもののない魔法の使い手ブラッディ・ローゼ。その彼女がつくり出した最高傑作の戦闘ホムンクルスであり最高の相棒たるメイド、サクア。ちょっとした悪ふざけだけで銀河が滅びかねない、究極の妖精フェム。すべての時空の聖を一身に集めた、無限の霊力の結束点ホーリー・ロータス。かつて、俺が転生したワドム地でともに危険をくぐり抜け、ついには不世出の時の魔女となったセリナとその娘(予定)のセナ。

 ひとりでもありえないくらいに強力なメンバーがこれだけそろったのだ。敵がいくら頭数を揃えたって、負けるわけがない。

 爆発が収まって、再び漆黒の暗闇が戻った空間に残るのは、俺の仲間六人と……流石にしぶとい、輝きの消え変えた魔法陣の前でボロボロの姿で浮かぶ闇魅。


 そのうえ、


「おっ!」


 最後の最後で彼がギリギリで間に合ったのだったのだった。

 果てしなく広大な多元宇宙の中でも、最強ではないかと考えられている男。

 イクスだった。

 もちろん、今度は、闇魅がつくりだした偽物などではな——本物の奴だ。

 遠く離れた別宇宙にいたのだが、最後の最後でギリギリで間に合った最強の男は、魔剣プライマル・スクリームを振りかぶり、


「消えろ」


 宇宙中にとどくような凄まじい怒気をはらんだ念話の後に、振り下ろされる光に、喜びの表情を浮かべながら斬られ爆散する闇魅。

 あのいろいろとこじらせている女にとって、イクスに殺されるというのは最高の望み——さぞや愉悦を感じていたのだろう。彼女にとっても世界にとっても、このまま消え去ってくれるなら一番の幸せなんだろうが……


 まあ、さっきローゼさんが言っていたとおりこれで消え去るようなタマじゃないだろうけどね。


 ともかく、今は闇魅は消えて、異宇宙を引きづりよせていた巨大な魔法陣も消えた。

 でも、一度慣性がついたその宇宙は、そのまま止まることはない。

 このまま宇宙どうしが触れあったならば、我々は虚無となる。


 それを防ぐのが俺の、女子たちと俺の仕事だ。


 ——宇宙同士の衝突をかわす。


 なんとも、とてつもないことを言っているという自覚はある。

 ちっぽけな人間が宇宙を動かそうとしているのだ。

 ありえないだろ普通って、俺も思う。


 しかし——準備はおK。


 おれたちは単におしゃべりしてただけじゃないんだよ。

 ここ半年のあれやこれやをずっと話していただけに見えてさにあらず。

 恥ずかしかったり、嬉しかったり、いろいろな話題が出るなかで、なんとなく高まってきた女子たちの結束感とともに、この宇宙にくまなく練り込まれた俺たちの因果を通じた魔導の浸透も良い感じになっていった。

 その結果……


 今、この宇宙は俺にとって大きな魔器と化した。

 時空の完全なコントロールを得たのだった

 セリナによって無数の生の繰り返し(ループ)によって俺の因果が緻密に織り込まれた宇宙。俺から発散してしまった因果を受け継ぐ女子たち、そしてこの宇宙に折りこまれたセリナの思いが結集した喜多見美亜(あいつ)

 この宇宙にくまなく張り巡らされた全ての因果を通じて張り巡らされた魔導回路により、俺は宇宙全体をつかって魔法を発動させることができ、それで狙うのは、

  

「敵位置を確定。攻撃する!」


 俺たちのパーティーがずっと追い求めていた敵。

 暗きモノたちを束ね、多元宇宙全体を虚無にかえそうと企む謎の勢力。

 高次元空間の中に明らかに違和感を持って存在する一角。

 何千億光年も離れたその場所までには流石に俺の因果も魔導も通じていないが、


「インフラトンを叩きつける!」


 俺は宇宙の始まりをつくる、宇宙から真空のエネルギーを集め、超対称性をもった場を生成し、一瞬で移動させ、


「やった……いや逃げられたか?」


 始まった宇宙創生のインフレーション、ビックバンの中から奴らの気配は消えている。


 まあ。しょうがない。こんな程度で仕留められるくらいの連中なら、俺たちもここまで苦労はしなかっただろう。


 今はそれよりも、



「この宇宙を、高次元時空から、奴らの企む因果から切り離す!」


 と俺は宣言するのだった。


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