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俺、今、女子リア充  作者: 時野マモ
俺、今、俺(トゥルーエンド)
328/332

俺、今、俺 総集編開始中?

 別の時間ループでの人生。それぞれの女子とそれぞれの親密な人生をおくった、それぞれの俺。

 今、全員の心が混ざり合いつつある状況で、そんな「俺」との思い出が浮かんでしまったら?

 かなり恥ずかしく気まずいシーンというか、放送NG的なものまで溢れ出てきてしまいそうでこれじゃみんなの結束が……宇宙を守る戦いが……やばくなってきているのだが、


「……私たち自身(・・)に起きた、最近の話をしてみたらどうでしょうか?」


 百合ちゃんの提案であった。


「そっか……確かに、余計な事考えないように、自分たち(・・・・)が経験したこと話せば良いかも」


 喜多見美亜(あいつ)が首肯しながら言う。


 確かに、それは良い考えかもしれない。

 女子全員と俺因果が融合して、宇宙全体を把握しつつあるとともに、みんなの心が混ざりつつある。

 そのせいで心に浮かんだはずかしい思い出が共有されてしまう大事故になりかけているのだが、はずかしいのがだめなら、恥ずかしくない話で塗りつぶしてしまえば良い。

 ナイスアイディア。この半年の体入れ替わり騒ぎの間の話題には事欠かないし。

 アニメ総集編みたいに、出来事をほんわかと思い出すのも良いな。

 と思ったのだが……


「じゃあ、言い出しっぺの百合さんから話してもらうことにしよっか」

 喜多見美亜(あいつ)が言うと、

「そうですね。でも……何から話しましょうか」

 なんかちょっと戸惑ったような顔の百合ちゃん。

「この半年、色々ありすぎて兄から話せば良いか」

「第一印象とか?」 

「第一印象……でも最初喜多見さんとして話しかけてきたから」

「ああ、そうか。私に入れ替わっている時に百合さんに接触したんだっけ」

「あ、あの時はごめんなさい……ほんと……」

 和泉珠琴が本当にすまなさそうな顔で頭をさげる。

 確かに、結果的にだがこのお調子者は百合ちゃんに無実の罪を着せて、いじめに加担するひどいことをしてしまったからね。

「そんな……あんな状態になっていたのは……私に問題があって」

「それは違うわ。私が……」

「まあ、珠琴、今はよしましょ」

「緑……」

 喜多見美亜(あいつ)生田緑(女帝)も和泉珠琴が悪いわけじゃないのは知っている。

 クラスカーストトップ気取りの碌でもない男子どもにはめられてしまったと言うのが、百合ちゃんがちくり屋に仕立て上げられた事件の真相だが、

「あの時、でも一番ダメージあったの勇くんですよね」

「うっ」

 百合ちゃんそれ言わないで。

「あ、あの後向ヶ丘クラスの話題独り占めだっよね」

 和泉珠琴が俺に止めを刺す。


 ゆうゆう——俺と入れ替わった喜多見美亜(あいつ)が、化粧の腕が落ちないようにといろいろ人の顔で試しているうちにこれはいけると思って始めた女装。それで単に個人的に楽しむだけだったらまだ良かったが、せっかくだからみんなに見せたいと動画サイトに踊ってみたを投稿するようになったりして。

 まあ、それでも、ボッチオタクの向ヶ丘勇が、当時は視聴者にも女子高生だと思われていた人気踊り手と一致する人はいなかっただろうけど。


「……本当にすみません。私のせいで……」


 学校近くの河原で「ゆうゆう」の踊ってみたオフ会をやって、クラスの連中をそこに集めて話題沸騰させる。百合ちゃんのことで変な感じになっていたクラスの話題を全部俺——向ヶ丘勇に集中させることでリセットする。

 それは一般的、男子高校性的に、学校生活の終了を意味していたが……

 まあ俺がやれって言って喜多見美亜(あいつ)にやらせたことだからね。

 ——別に後悔はしていない。

 というか、もともと変わり者としてクラスの輪に入れなかった俺だから、存在感なくて変な奴から、妙な存在感あって変なやつに変わっただけだからね。扱い的に大した差があるわけでもない。


「でも……結果的に、良かったんじゃない? あれから私達とつるむようになったけど……普通なトップカーストグループに突然地味な男子入ったら僻まれてしまいそうなもんだけど……なんか触れちゃいけない人扱いになってたからね。みんなスルーしてたよね」


 まあ、そうかも知れないが、すべての現況の喜多見美亜(おまえ)が言うなと言う気がしないでもない。というかその時、スルーされたのは俺じゃなくておまえなんだが……


「しかし、まさか、勇くんが喜多見さんと入れ替わっていたなんてまさか思いませんでした」

「入れ替わったのは、河原のイベント終わった後なのよね」

「生田さん……なんか変に思いました?」

「それは……なんか美亜元気ないかなって」

「そうですよね……私が喜多見さんと入れ替わっていた向ヶ丘くんと更に入れ替わって……ああいう……」

 そうだよね。学生の本分にもとるキラキラライフ。まっことケシカラン……と切って捨てるにはおれもいろいろみんなのこと知りすぎたけどね、

「ああ、でも向ヶ丘くんが美亜に入れ変わってた時で、すでに相当おかしいと思っていたから……この頃疲れてるのかな程度で……それよりも……」

 女帝が、俺をちらりと見ながら百合ちゃんに言う。

「第一印象はどうだったのかしら? 向ヶ丘くんが誰だったのかわかったあとで」

「ああ、それは……」


 お。これは気になるな。百合ちゃんが俺のこと最初どう思ったのかってこと。


「最初は何なんだろうこの人って思いました」


 ん?


「なんで私につきまとうのかなって……」

「うわそれ、ほぼ拒絶だったの? もしかして……」


 第一印象最悪?


 もしかしたらこれから始まるのは、ほんわかした総集編でなくて——俺の心をえぐる暴露大会?



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