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ロータス・ヴァレット  作者: 聖騎士・T
深淵の想い人
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問題児ウリエル(とルシファー)

「さ、じゃあこの泉に飛び込んでくれるかな?」


その泉と言うのは、丁度真ん中に設置された物だ。貯まった水はモヤモヤと青白い光を帯びており、神々しさMAXの装飾で、まさに天使界といった感じだ。


「お、おう…」


クレハは少し躊躇うが、まだ天使にすらなれていないのだ。こんな所で立ち止まってなどいられない。そしてクレハは泉へと飛び込む。


「ぬぉぉぉぉ!!俺は負けん!負けんぞぉぉぉ!」

………………

「そんなに気合入れなくても…ようこそ!天界へ!!」


クレハは閉じていた目を開ける。そこには煌びやかな光景が飛び込んで来た。先ほどと違い、建物が沢山存在する。地面は同じ綺麗な鉱石だが、少しへこませて道が作られている。そして、人間、もとい天使がチラホラと歩いている。


「お、おぉう!!さっきのは天界じゃ無かったのか!」


「うん。ここが天界。さ、さっさと行こうか。あの建物で契約するんだ。」


アザゼルの指差す一番奥には、超豪勢な宮殿がドッシリと構えられていた。あれが本部なのだろう。


「よし!行くぞッ!!ウォァァァァ!」


クレハはそれを悟り、その宮殿へと一直線に猛走する。


「あ!待って!一人で勝手に…」


暫くしてアザゼルの声が聞こえなくなった。


「はぁ、はぁ、づいだぁ…! さて、頼もぉぉ!」


ドン、と扉を蹴飛ばし、内部にズカズカと踏み入る。


「な!?人間!!抑えろ!!」


「ちょ…」


宮殿へと入った瞬間に、武器を所有した天使達に抑え込まれる。武器を使うまでも無かったようだが…


「アダダダダ!!ギブギブ!」


「なんだ貴様…何処から漏れて出た。」


抑え込まれるクレハの元に、一人の少女が歩み寄る。金髪で、軽そうな鎧を装着したかなり高圧的な少女である。


「なんだ。こんな子もいるのか。」


少し和らいだ顔をするクレハ。しかし。


「何…?」


少女は腰に携えた剣を引き抜きクレハの眼に向ける。


(見なくても分かるけど…なんか…めっちゃ怒ってる!)


「あ…と…ゴメンね?(はぁと)」


「フン!」


クレハが言葉を発してから1秒と経たぬ間に、その得物は振り下ろされた。


「死んだぁぁぁ!」 「待ったぁぁぁ!」


間一髪、クレハの頭をかち割らんとするその刃は目と鼻の先で動きを止める。


「ア、アザゼル〜!」


「お前の客か?アザゼル。」


「あぁ、悪いね。ウリエル。」


「ウ、ウリエル!?それなら聞いたことあるぞ!有名な天使だし。」


『てーか、またちゃちいのが来たな〜』

(なんて言ったらぶった切られそうだな…)


「アザゼル様のお客様でしたか…失礼。不躾な挨拶、許してくれ。」


そう言って、クレハを取り押さえていた天使の一人が手を離す。すると、皆続々とクレハを離し、散って行く。


「ウリエル、この人はクレハ。クレハを契約させたいんだ。ルシファーさんを呼んでくれる?」


「断る。」


「「んな!?」」


ウリエルの予想外の言動に、クレハとアザゼルは変な声を出す。


「コイツはいけ好かん。さっさと地獄送りにしてしまえ。」


「ちょお!行き過ぎ!せめてエデンの園に連れて行けとかにして!?」


「何を甘えたことを…この大天使ウリエルを″子″呼ばわりした罪は万死に値するぞ。」


(んだよコイツ…見た目所かおつむもガキじゃねぇか…!)


等と揉めていると、ある人物が声を掛けてくる。


「呼ばれた気がしたから来てみれば、またお前かウリエル。」


「む…ルシファー…」


「様だろうがあ″ぁ″ん!?」


「ちょ、行き過ぎだ!百歩譲って『さん』よ!」


(コイツがルシファー…てかガラ悪!?)


ウリエルと喧嘩を始めたこの男。ルシファーは天使界で最も位の高い天使である。その背には6対12枚の翼が生え、頭上には紫の雷を帯びたリングが浮いている。


「あぁーもうウゼェウゼェ。クレハ。行くぞ。」


「あ、えっと…いいんスか?ウリエルさん。」


「いいのいいの。一番偉いの俺ですし?」


そう言ってルシファーはウリエルに、持てる力全てを使って見下す。


「…」


その時、ウリエルから何かが切れる様な感覚を感じる。


(やべ、キレた)


「殺ぉすッ!!」


足を踏み込み、下ろしていた剣を握りしめ、切っ先を下にして腰に当てて構える。すると刃が金色に光り出し、雷を纏う。


「アザゼル、そいつ頼むわ。」


「なんで僕が…」


天雷撃ヘブンズザッパー!!』


ウリエルはその今にも激発しそうな剣を、全身を使って振り上げる。すると刃から眩い雷砲が、宮殿全体を震わせて放たれる。


「い″やぁ″ぁ″ぁ″ぁ!?死ぬぅ!!」


「全く情けねぇな…そんなんで天使が務まるのか?」


そう言ってルシファーはノソノソと宮殿の奥へと歩んで行く。ウリエルの攻撃が二人に迫る。しかし、ルシファーは見向きもしない。


(く、マジやべぇ…!)


その間に割って入る者が一人。アザゼルだ。


「ウリエル。邪魔しない。」


アザゼルは姿勢を低くし、武器も持たずに立ちはだかる。そして…


「チェストォッ!!」


一撃、右手でのストレート。ウリエルの攻撃とぶつかり、拳から爆燃が放たれる。そして、相殺。


「ちっ!」


「別にクレハに悪気があった訳じゃないんだしさ。ここは!」


アザゼルが左手だけを顔の前に置き、お願いするようなポーズを取る。それを見て、ウリエルもようやく剣をしまう。


「助かった…凄いな、天使って。」


「あれは特別な奴らだ。天使にも階級がある。因みに俺は一番上だ。」


「へいへい。さっさと契約済ませようぜ…」

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