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別れのいたずら  作者: KEMONO
4/4

もう一度夢の中へ

俺はベットに入って目を閉じた


目を見開いたもう夢の中のようだった

「ここ...どこだ....?」

そこはなにもなかった

いつもの夢とはすべてが違う

真っ暗で自分しか立ってない。

でもこれだけはわかった

「いるんだろ?」

「えへへバレちゃった?」

出てきたのはやっぱりあの夢の女だった。

「昨日名前呼んでくれたね思い出せた?」

「いや思い出せない」

女は悲しそうな顔をした

「そっか....でもまぁ今日で最後って決めてたから

もう..教えちゃうね本当は自分で思い出して欲しいんだけど」女はぼそりとつぶやいた

「わかったよ!少し考えさせてくれ!」

女は少し笑った

「ありがとう!じゃあ少しヒントあげるね!

Trick or Treatお菓子をくれなきゃいたずらするぞ!」


ハロウィン.....?

はっと我に返った。記憶が蘇る


俺は思い出した20年前のあの事件を


Trick or Treatお菓子をくれなきゃいたずらするぞ

あの日俺は妹にこう言った

「あっ今日はハロウィンか!!

忘れてたあー今から買いに行くから

お兄ちゃんもお菓子用意しておいてね!!」

優しい妹は1人で買いに行った。

俺はお菓子を用意して家で待っていた

しかし妹が帰ってくることはなかった

トラックにひかれて即死した

警察からそう言われた

小5の俺はその意味を理解できなかったが

妹が死んでしまったことだけはわかった。


俺が買い物に行かせたからだ

俺が一緒ついて行かなかったからだ

妹が死んだのは俺のせいだ

妹を死なせたという罪悪感が

俺の頭を支配した。

罪悪感に耐えきれなくなって俺はいつしか

妹の記憶を頭から消していたんだ

妹なんて最初からいなかった一人っ子だと


「ねぇ?思い出せた?」


全て思い出して俺は泣き崩れた。

「思い出した....ずっとずっといいたかったんだ

でも今まで忘れてた頭から消してた

ごめんあの時お前の人生を奪ってしまってごめん」

涙が溢れて声も上手く出せない


「ううん。お兄ちゃんのせいじゃないよ大丈夫だよ。

あの時私が死んだのは猫を助けたからだよお兄ちゃんのせいじゃないよ。でももっと遊びたかったなあ」

妹も泣き出した

「今日から夢の中で思いきり遊べばいいじゃないか!

俺が寝ているあいだはお前と会える!毎日毎日遊べるんだよ!!」


「それは無理....なんだ

お兄ちゃんが思い出しちゃったから

私やっぱり消えちゃうみたいそれに

今日で最後にしようってはじめから思ってたの

20年たった今日でお別れしようって」


「なんでだよ!!!

これからまたあの時みたいにって思ってたのに!!」

俺は叫んだ

妹はゆっくりそして優しくまた話し出した

「大丈夫だよ私が消えても

お兄ちゃんがまた思い出してくれたら私は

お兄ちゃんの記憶の中で永遠に生きれる

もうお兄ちゃんの記憶は消えることはないから」


「そんな待っ...!!」

抱きしめようとした手はすり抜けた

妹はもう消えかかっている

「明日美!!!!」

妹は無理して笑って手を振りながら消えた。


目が覚めた

ボロボロと涙が落ちる。

「俺....最低だ」

妹が死んだのに俺は何も背負わず

のうのうと生きてきたんだ

あいつの名前だって最後の最後まで

思い出せなかった。

明日美あしたに美しい

明日にはもっと美しくなっていく

そんな意味でつけたと父は言っていた。

妹の明日は20年前で止まっている。

猫をかばったなんて嘘だ

警察と周囲の人が言っていたこと思い出したんだ

妹はとても急いでいたこと

そして妹はそんなに急いで何しに行くのと

聞かれた時

「お兄ちゃんの驚く顔はやく見に行くの!!」

と答えたこと

思い出してまた泣いたあいつの優しさに


これからはお前の分も必死に生きてやる

お前のこと記憶から消したりなんかしない

そう決意した。


妹と夢で会えたのは

神様のハロウィンのいたずらだと思う

今考えると妹に俺はお菓子をあげられなかったから

別れ際に妹は俺に優しい嘘

といういたずらを仕掛けたのかもしれない

「そんな優しい嘘俺にはもったいないよ」

つぶやいて俺は前を向いてまた一日が始まる


待ってろよ俺がいつかそっちに行った時には

お前に自慢できるような人間になってるから

それがお前へのお菓子でいいか?











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