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クエスト・オブ・ミッドサマー  作者: 本宮日依
1/1

00:これはどうやらプロローグの前のプロローグらしい。

『クエスト・オブ・ミッドサマー』(真夏のクエスト)

処女作となります。

温かく見守っていただければと思います。

「…きて。……おき…て……!」

ああ……知らん。今はとにかく……寝るのだ……。

掛けられる声に知らんぷりをしつつ、キョロキョロとあたりを見回す。

お、川だ。

あっれ、男の子がいる、女の子も。

背丈が似てるから双子か兄弟かと思ったが顔が全然違うのできっと違うのだろう。

2人ともニッコリ微笑みながら手を振ってくれている。

2人に手を軽く振り返していると。

たたたっと、それはそれは素早く。


同い年くらいの女の子が駆け寄って着た。



「―――ねぇ、わたくしと、かわって?」



ぞくりとするほどの笑みで、赤い唇が弧を描くようにニンマリと。

思わず後ずさると、パシャンと水の音がした。驚いて見ると、川に足首が浸かっている。

その間にも女の子はドンドン迫ってくる。

「さぁ……さぁ……!!」と、鬼気迫る表情で。

イヤだ。

身の危険を感じて逃げる。あぁ、怖い。鬼のような形相で追いかけてくる。

こないで!!こないで、こないで、こないで……


「起きて!! マナ!!」


ハッと目を覚ますと、そこは、白い天井で。あの女の子は子はいなかった。

…なんだ、夢か。

ホッと息を吐いて、声の主を確かめる。

「……うるさ……シュウコ、うるさい……」

自分の声が思った以上に掠れていて自分でビックリした。

ショウコ、怒るかな?『せっかく起こしてあげたのに!?』って。

「良かったぁ……っ!! もう二度と話せないかと思ったわよぅ……」

「えっ……」

いつもなら、ぷんすか怒るショウコが……!?

衝撃だった。戦慄した。まさか、ショウコがヒトの心配をするなんて……!?

ショウコが看護師さんを大声で呼んでいる。やっぱり、うるさいよショウコ……。

そこで、ハッとした。

あれ?

ここって自分の部屋じゃないのか?

Where is my room???(私の部屋はどこ???)

「ショウコ……ショウコ……」

「ナニ!? どこか痛いとこあるの!? そうなのね!?」

「んーん、違う。……ここ、どこ?」

キョロキョロと辺りを見回すと、自分の腕に、点滴…否、天敵の針がささっている。

まさか、ここは……!?

「なに言ってんのよ? ココは病院に決まってるじゃない」

「………!!!!!!!!!!!」

ショックで固まる自分には構わず、ショウコは呆れ顔でそのまま喋る。

「あんた、事故で車にぶっ飛ばされて、川にドボンして、溺れたのよ。……覚えてない? 真夏(まなつ)

ぼんやりしていた頭がしだいにハッキリする。そうだ、自分は真夏で……学生で……

「……ウチの両親に連絡したわ。悪いけど、ここ、ウチの病院だから」

「ふーん。……別にもう気にしてないし。……病院はキライだけど、ありがとう、ショウコ」

「ふん。改まって気持ち悪い……」

そうこうしているうちにお医者さんが病室にやってきて、診察を受けることになった。

(あの夢って、一体、なに……?)

結局、わからないまま一日が経過した。

お医者さんによると、体は打ち所が良かったのかもう大丈夫らしいのだが、「二日大事をとって入院しましょう」との事で自分はまだ入院していなくてはならないようだ。はやく出て行きたい。退院したい。

まあ、いい。とにかく寝れるだけ…寝よう。

睡眠は大事なのだ。『寝る子は育つ』のだから……。


*☠*


『やーね、あのニンゲン。ワタクシきらいですわ』

暗闇に妹のレスモの声が響く。

ははは……レスモは自分と同じ、“女の子”に会うのははじめてだったから、照れてるのかな?

『レスモ。そう言わないで。あの子は必要なんだ。我が一族、存続のためには』

そうだ。あの子はどうしても必要なんだ。可哀想だが来てもらわなければならない。

申し訳ないが、仕方がない。

『つぎ、あったときには、ナニをしようかしら。ヤツザキにしてもいいわね。ふふふっ……』

『こら、レスモ。儀式が終わるまで……我が一族が永久の安寧を手に入れるまでは我慢しておくれ』

『ええ、もちろん、そのつもりですわ……すべては…』


『『我が一族のために』』


*☆*


『今度は首都ですって!!』

『やだぁ、こわ~い!!』

『最近多くない!?』


制服の長いマントをパタパタとはためかせながら、同級生たちは隣をすり抜けていく。


またか……。最近、この魔法国家である国<ツイド>に奇怪な現象が多発している。

ミステリ・サークルとか、隕石の衝突跡のような物が急にできたりしたり。とにかく様々なことが起こっているのだ。

『うぅ……こわいよぅ……』

一番新しい事件では首都のとある地区の子ども達がいきなり消えた、というもので。

消えた中には自分と都市の変わらない子たちまでいて。

いつ、自分が消えるか……わからない。

『まぁ、そんなこと、あるわけないですよね。落第魔女なのに』

そばかすの散った白い顔。薄茶色の長い三つ編みにした髪。同じ色のあまり大きくない瞳には眼鏡。おまけにドちびでおっちょこちょい。

自分が消えたって、悲しむ人など、いないのだから。

落第魔女・アミ・クルサイドは瞳をそっと伏せた。


*♢*

目を覚ませばもう朝だった。

『おはよう』と言えば『おはよう』とみんな返事してくれる。


『あっ、女王様だ!!』


誰かがそう叫んだ瞬間に僕たちは上を見上げる。

いた。女王様。朝日にキレイな一際大きく目立つ虹色の透ける羽が煌めく。


『おはよう。皆。……今日は重要な通告があって、ここに来ました。ずっといがみあっていた我がスターリング族とブリテン族が和解することとなりました!! もう心配することはきっとないでしょう!』


そうか、やっと…そうか。

まあ、なんにせよ…なんの心配もいらないだろう。

だって女王様は強いんだから。


『フォルカーク!! 置いていくぞ!!』

『今、行くから待っとけよ――!!!』


争いが起きようが、起きまいが…俺たちには関係ないじゃん。

だって、女王様が全部解決してくれるんだから。


そうだろ???



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