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称号:モノクロ・神殺し  作者: ヘーガ
一章 箱庭
5/23

主・成長

 囲まれた。俺は今もっとも木々が生えてる地域で敵に囲まれてしまった。とりあえず状況を把握しよう。

 前と左に一匹ずつ、後ろに二匹いることを確認する。敵の状況を把握をした後は自分を解析する。



体力は十分残っている。この前抉れた左手も完治した。



そして右手に持っている獲物を確認する。


全長百二十cmほど。そのうち根元から二十cm近くまで布を巻いて柄とした。


 柄から先端に向け段々と細くなり、刃のついてるほうに向け少し湾曲している。


 黒に近い緑の刀身に今のところ刃こぼれは無い。その武器、巨大蟷螂の鎌を雑に加工した剣を持った俺は


 いける そう決断した。


「GURAAAAAA!!」



 左側のヤツ、緑色の体毛をした大型犬サイズの狼が飛び掛ってくる。それにタイミングを合わせ喉に狙って剣を突き刺した。喉から頭まで突き刺さった剣を引き抜き、そのまま前方、俺が左を向いたため右側にいる狼の頭を狙って振り下ろす。殺せはしなかったが致命傷を与えたことを認識すると同時にソイツの脇を通るように走り出す。残りの二匹が後ろから木々を抜けるようについてくるのを認識して、俺は密かに片頬を上げた。




「「キャウンッ!」」


 今まで獰猛な唸り声を出していた狼がまるで子犬かのような悲鳴を上げた。見れば二人をくっつけるかのように、木の枝が体中を貫いていた。俺が今朝かけた罠に上手く引っかかってくれたようだと安堵の息を吐く。

 この罠はしなりのある木に巨大蟷螂の甲殻で作った返し付きの短槍をつけ、蔓を踏むと作動するように仕掛けたものだ。

 俺は今にも死にそうな狼の息の根を止め、蔓で罠から抜いた体を吊り上げて血を抜く。内臓は駄目になってるだろうが毛皮は使えるだろうと思い剥ぎ取る作業を始めた。

 ここに来てから四年がたった。




 ほんの少しだが、この世界のことが分かってきている。 

 洞窟内では四肢欠損も回復する

 天体が存在しないのに朝夜がある

 体が成長しない、生理現象がおきない

 この世界は完璧な箱庭であり山から出られない

 出ようとすると霧に阻まれランダムに戻される

 ここはそれなりに広く、地形も悪いので端から端まで歩くと7時間はかかる

 巨大蟷螂、緑狼、巨大蜘蛛等のバケモンがうじゃうじゃといること。そして




 この山の中心に主らしきものがいること




 俺が主に出会ったのは三年前、この世界の地形が大まかに分かってきたとき、中心を調べてようと思い見つけた。そこは地がここでは見たことが無いほど平坦であり、断層したかのように高い壁があった。そしてその壁に背をかけるように甲冑を着た人が座っていた。


 そう、人である。ここ3年人どころか生き物とすら言いがたいモノとしかあってない俺は無用心に近づいた。

 この世界がそんな生易しいものじゃないと知っているのに。




「あっあの、ここどこだかわかりま――」


 うなじの辺りにスパークを感じ即座に距離を取る。だが左手だけが間に合わず、痛みが襲う。そしてあとから宙に舞った俺の左手の三本の指がポトポトと音をたてて落ちた。だが指をなくした左手には目をくれず、俺は甲冑を見ていた。


 甲冑の着てる人物の顔は、左半分が骸骨となっていた。





 人型のばけもの?


 どうしてだ?なんでひとがた?やっぱりこうなるのか?


 久しぶりの驚愕に心を支配され動くことを忘れる。動けない俺に向かって骸骨は右腕を突き出し、何かをしゃべった。


 「    」


 すると赤い光が螺旋を描くように右手に集まり、三本の炎の矢を打ち出した。


「―――ッ!」


 横に転がるようにしてよけた俺はすぐに逃げることを実行した。追ってこないかずっと不安で仕方なかったが結局、骸骨は追ってこなかった。

 そのあとも何度か主のところに冷やかしに行きあいつはあそこから半径五十メートル範囲から出られないことが分かった。

 まるで何かを守っているかのように。






 俺はあれを主と名づけ、アレに何かあるだろうと思っている。

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