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称号:モノクロ・神殺し  作者: ヘーガ
一章 箱庭
3/23

行動・遭遇

「洞窟…だよなぁ」




 周りを見渡してからそんな独り言をつぶやいた。だが、何故洞窟なのだろう。どうして俺がこんな場所にいるのだろう。分からないことだらけだが、とりあえず出来ることをしようと思いもう一度現状を把握した。


とりあえずここは洞窟。なぜか全体を見渡せるほどに明かりがある。


持ち物はエナメルバック一式。中にはジャージ上下とスマフォ、筆記用具とプリント類のみ


洞窟内は教室くらいの大きさになっているが洞窟の入り口は普通の扉ぐらいだ。


 これらの情報から理解したことはただひとつ、俺の知らない場所というだけだ。


「とりあえず外に出てみるか、何か分かるかもしれない」




 そんな期待とともに洞窟から出てみる。そこにあった風景は事態をより混乱させるには十分であった。


「森って、何で俺は森にいるんだよ…」


木、木、木。辺りは生い茂った木しか生えていない。そして俺は空を見上げ、その光景に今度は絶句した。



「空が…灰色ってどういうことだよ」


 正確には空がまるで黒と白の絵の具を適当に混ぜたものを塗った板で、蓋をされているようなものだった。

 


 あまりの驚きに脚は棒のように固まってしまう。動こうにも動けない俺の前に、そいつは突如現れた。


 高さ2mはあるところに頭を持つソイツは全身を黒に近い緑の甲殻をまとい、生物など簡単に八つ裂きにしてしまいそうな巨大な二つの鎌を持つ悪魔。



「ひぃっ」


 巨大蟷螂の存在に腰を抜かし、地に尻をつく。それと同時に右手の鎌が振り下ろされた。




「ガァァァァッ!!」


 腹部に凄まじい熱を感じ、絶叫する。切られたよりか抉られたといったほうが正しいと思えるほどの傷。距離をとっていなかったら体が真っ二つになっていたかもしれないが、むしろ一撃で死んだほうが楽だったかもしれない。そんなこと考えた。

 腹部の傷のせいでうまく力が入らない状態の俺は巨大蟷螂に背を向け洞窟逃げることを選択した。巨大蟷螂ならあの入り口に入れないだろう。だが洞窟までのこの体でたどり着くには困難だ。入り口までの数mがまるで百mほどに感じる。

 そんな中俺に好機が現れた。俺の背中を巨大蟷螂が吹っ飛ばしたのだ。洞窟付近まで吹っ飛ばされた俺は腹部と背中に熱を感じながらも、残り数十cmとなった入り口へと這い蹲りながら入る。その間も蟷螂が後ろから迫ってくる。

 全身が洞窟に入ったとき、蟷螂はすぐ近くまできていた。倒れている状態で蟷螂と目が合ったときにまるで心臓が爆発するかのように恐怖が襲った。だが、まるで俺を見失ったかのようにどこかへ行ってしまった。これで蟷螂の脅威は無くなった。だが、


「これは、死ぬかもな…」


 腹部と背中から止まることなく今も血が流れ出してる。もはや痛みもなにも感じない体を不思議に思いながら、俺は意識を失った。






 「うわああああああああああっ!」


 飛び起きる。蟷螂に八つ裂きにされ、食べられたところで俺は目を覚ました。夢だ、あれは夢だ。本当は洞窟にも森にもいない俺は部屋で目を覚ましたんだ。そう信じながら状況を把握する。だがここは紛れも無く洞窟だった。


「生き残れたのか、俺は」


 そういいながら自分を見る。そこには破れた服と乾きこベりついた血、そして傷ひとつない自分の腹部があった。

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