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称号:モノクロ・神殺し  作者: ヘーガ
一章 箱庭
22/23

小話・溜め込んだ種と煩悩

 このくそったれな世界に閉じ込められ、百数年がたった。娯楽どころか安らぎすら許されないこの世界で唯一許されていること、つまり戦うことを続け五つ目の世界への道を先日開けたのだ。前の草原を模った世界とは違い、黒い靄の立ち込める山を模った世界を探索しているときに、俺はアイツを見つけた。見つけてしまったのだ。




「……アレはっ」




 全長百六十cm前後の生物。その姿は人の形をしている。



「…サキュバスッ!」



 赤いショートの髪を生やしている頭からヤギのような角が二本生えている。長い二本の足が胴体から生えており、その胴体はそんなものを着るならば全裸になった方がマシと思えそうな程肌の露出が多い黒のボンテージを着ている。上半身についている豊満な胸は何かの動作を行うたびにプルンと震え、今にもボンテージから零れ落ちそうになってた。


 まるでエロゲーからそのまま飛び出してきたとしか思えない淫猥な姿のサキュバスを目の前にし、一つの考えが頭をよぎった。


(あの胸を、揉んでみたいな…)



 考えてみれば百数年間自分を慰めていない、それに加え藍華を除く女性と関わったことはほとんど無いのだ。こんな状況で目の前に現れた美人で卑猥な姿の淫魔を目の当たりにし、興奮するなという方が無理な話だ。



(どうする、揉んで見るか?いや、あいつは敵だぞ、魔物だぞ?きっと胸なんか触ったって硬いぞ。いや、あの胸は動く度にプルプル震えてたし柔らかいんじゃないか?…俺は何故胸のことばかり考えているんだ?下半身はどうなんだろう、引っぺがしてみるかな…。駄目だ、それは駄目だ。そんなことをしたら俺は主達の記憶に出てきたような屑共と仲間入りじゃないか…)




ガサリ




 一つの音が俺を我に戻した。


 恐る恐る、顔を上げる。


 そこには、まるで食料を手に入れたと思っているような表情をしたサキュバスと目が合った。





「…やべぇ」







――




 サキュバスとの戦いは五分で終わった。元々サキュバスの攻撃手段は少なく、淫夢を見せている間に食らってしまうというやり方だったようだ。だが俺は攻撃態勢のときは精神の揺らぎが少なく、催眠を自力で解く魔法もあったため淫夢に掛かることは無かった。


「…ちっくしょう」



 初めての相手と戦い、ほぼ無傷で勝利したにも関わらず俺の気分は沈みきっていた。


「心が穏やかな気分だよ…チックショウ…」


 そう、攻撃態勢と移ったことによって、サキュバスと戦ったせいで己の性欲をすべて発散してしまったのだ。自分の脳裏にあの淫猥な姿が焼きついているうちに聖域へと戻り、己の溜まった性欲をぶちまけてしまいたかった。だがサキュバスは死ぬと同時に砂となって宙に舞ってしまったせいで、あの姿をもう一度見ることが出来なくなってしまった。







 その後どうしても諦めきれず、他のサキュバスと戦ったが結果は同じであり、結局は諦めてしまった。





――



「……シオン、どうしたの?」



 久しぶりにサキュバスと戦ったせいで当時を思い出してしまった。


「いや、ちょっと思い出してな」



 そういいながら剣の血を振り払う。俺達の目の前に広がるのは五つの死体。それらはすべてサキュバスだ。ここは六つ目の世界より奥の世界、別世界のため死体が砂となって消えたりしないようだ。

 サキュバスの死体を凝視しながら思う。どうして今まで会ったほとんどのサキュバスの胸がでかいのだろう。対象の好みの姿を自分の姿にするタイプのサキュバスはCカップほどの小ささの者がいたが、淫夢を見せるタイプのサキュバスはほとんどが最低でもGカップ以上あると言って良いだろう。一番最初に奇乳という言葉を作った人は偉いと俺は思う。




「……………」



 隣にいるシオンが自分の胸に手を当て、何かを悩んでいる。どうやら俺がサキュバスの胸を凝視していたせいで誤解させてしまったのかもしれない。





…やっぱり大きい方が好きなのかな…




 風と共に流されてしまいそうなほど小さな声でシオンが呟いた。



「俺は、今のシオンが好きだよ」


 実際にシオンの胸は貧しいと言えるだろう。服の上から膨らみがあるのが分かる程度であり、裸にならないと胸が揺れない程の小ささだ。そして、俺はそんなシオンの胸が大好きだ。シオンと出会って俺は貧乳に目覚めたのだ。




「例えシオンが巨乳でも貧乳でもシオンはシオンだ。俺はシオンの胸を好きになったわけではない、シオンを好きになったんだ。でもやっぱりシオンは貧乳の方が好きだ」


 俺の駄々漏れた本音にシオンは顔を赤くして俯きながら呟いた。



「………ひんにゅうひんにゅういわないでよ………バカ…」




 そう恥じらいながら呟いた彼女は可愛らしく、美しかった。



 そうだ、貧乳なサキュバスがいないのなら作り上げればいい。さっそく今夜シオンにサキュバスのボンテージを着せてみようかな。


こんな話が書きたかっただけです、ごめんなさい。

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