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称号:モノクロ・神殺し  作者: ヘーガ
一章 箱庭
20/23

真実―2

「ユト、次は私が質問するね?」


 シオンが無意識な上目遣いでお願いをしてくる。俺は顔がニヤけそうなのを抑えて頷いた。

 シオンがゼロに質問をする。



「私は、女神・ルナとの分身と融合した後どうなったの?」



「いいよ、教えてあげる」



 ゼロが指を弾く。窓から差し込む黄昏色の光を、照明の光が塗りつぶした。




 「君が女神・ルナの分身と融合した後、選抜した十数万の人と魔族を残し、残りを消滅させたんだ。建物は風化し、街はまるで数百年たったかのように植物で埋め尽くされ、魔物は世界が出来たばかりの頃の強さまで弱体化した。君は魔物を弱体化させたときに生じた負荷を取り入れ、浄化するために神の下へ行く途中、箱庭世界へと取り入られてしまったわけだ。

 君が多く取り入れた負荷。それは負の念と似たものだから引き付けられたんだと思うよ。まぁ君が主にならず、イレギュラーな存在としてその世界にいたのは負荷が似ているってだけで本物とは違うからだろうね。聖域は通れなかったけど。

 ルナは君が取り込まれたのを知ってるけど、助けなかったわけではない。助けられなかったんだよ。箱庭世界は外から無理に干渉しようとすると爆発を起こすんだ。そして爆発した際に飛び散った{魔}は近くの世界を数個消滅させてしまう可能性がある。だからルナは諦めるしかなかったんだ」



 話を聞いて、気づいたをぶつける。


「どうしてそんなことを、別の神の事情を知っているんだ?」



「聞いたのさ。ルナから直接」



 一つの世界を創った女神を呼び捨て。つまり、かなり高位の神ってことだよな…

 まぁいまさら敬語にするつもりはないけど。



「ありがと…」


「どういたしまして」



 話を聞いてる際に飲み終わったグラスを差し出し、別の飲み物を頼む。



 並々と注がれたコーラをすすり、次の質問をぶつけた。




「次はなんだい?」 


「主を倒すたびに通路が作られることに、世界を超えるたびに魔物が強くなることについてを」



「了解」






「食物連鎖の三角形があるだろう?箱庭世界はまさにアレの反対だ。強い魔物のいる世界が一番下になり、魔物の弱い世界が上にくるんだ。これは、必然といっていいだろう。

 水と油ってのが一番の例えだね。{魔}によって世界が作られる際に魔物の強さは、主の元々の強さと負の念の強さによって変わるんだ。地球のように数m上から着地すれば足をくじく世界があれば、成長するにつれ数m上に垂直にジャンプできるような世界もある。まぁ世界とその神によって違うけどね。後は同じ強さでも負の念が強い方の魂へと{魔}が多く集まるんだ。これが一番重要だよ。

 より強い魂へと、より負の念の多い魂から作られた世界には{魔}が濃く満ち溢れているのさ。そしてその{魔}の多い世界は下のほうに沈んでいくんだ。それこそ、油の中に沈んでいく水のように。

 沈んだ世界の上に、その世界より少し{魔}の少ない、少し魔物の弱い世界が沈んでくる。こうして積み上がった一番上の世界が、君の目覚めた世界さ。ほかの世界で上を見たとき、空が蓋のようなものだっただろう?あれは上の世界の地面の裏側だった。ってわけさ。

 形から言うと世界を超えるというよりか世界を下るって言うほうがいいね」



 世界を下る、か。てっきりすべての世界が横に繋がっているモンだと思っていたな。



「そして主を倒すことで通路が出来る理由だね。こっちはある程度簡単さ。

 主には行動範囲があっただろう?主を元に世界が作られたんだ、主の周りだけ{魔}が濃くなって当たり前だよ。その濃くなった範囲が主と結びつき、行動範囲になったのさ。

 その範囲が聖域となるときに反動が生じる。その反動を逃がすために下の世界に通じる穴を開けるんだ。そのときに世界が、{魔}がなるべく矛盾を少なくするように作用したから、洞窟などの形で通路になるんだ」



 ゼロが話し終えると同時にコーラを飲み干す。窓の外は常に暗くなっていて、久しぶりに月と星を見た。






 そういえば、コレについて聞いていなかったな。



「これはどういうものなんだ?」



 右手に光が集まり、黒い剣を握る。



「それはね、堕神、武神の類の残骸が剣になったものだね」



「そうか、やっぱり神からできたものだったか」


「そうだね」









 え?





「それだけ?」




「うん」





 マジかッ




「ほかに説明はないのか?」


「もうちょっと詳しく説明すると、その剣になる前の神が、死に際に君専用の剣に残骸を変えただけだよ。その剣がシオン君の弓と同じように体内に収納できるのは、魂と同化してるからだよ。まぁほとんどの神が壊せないほど頑丈。その剣には本当にそれくらいしか言うことがないんだ。

 体に収納できる。つまり誰にも盗めないから君専用の剣って事だね」




 なるほど、シンプルすぎるこの剣はこんなところまでシンプルだった。




「もう夜も遅い。続きは明日にしよう」



 ゼロが指を弾く。その音を合図にカーテンが閉じ、後ろの扉からガチャリと音が響いく。

 立ち上がり、ドアノブに手を掛け、回す。扉の先には高級ホテル顔負けの寝室があった。




「防音になっているからナニしてもいいよ」



「人の家じゃヤらねえよ」



 ゼロの戯言に反論した際に、顔を赤くしたシオンに脇腹を軽くどつかれた。






 いつまでも世話になるわけにはいかないし、明日話を聞いたら日本に一度戻るか。幼馴染にも顔を見せたいし。






 そういや箱庭にいた時間の分はどうなってるんだ?

次で最後です。

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