十一個目
大好きな血
血潮
人を、殺した
手に持つナイフで、一突きに
飛び散る鮮血に
僕の心は満たされる
飛び散る鮮血は
僕のためだけに流れるんだ
暖かな血
冷ややかな血
二種類の血は
どちらも僕が
大好きなもの
真紅に染まった
僕の服
手にへばりついた血糊を
舌で舐め取ったんだ
鼻につく鉄の匂い
僕はそれが大好きなんだ
人が、死んだ
鋭利な刃物に貫かれ
抉られることもなく
綺麗にすっぱり切れていく
真っ赤に染まった
僕の心と服
血生臭い匂いは
僕の生きる証なんだ
君の血を飲み干してみたら
元気になれる
そんな気がするから
流れ出す血は
僕が求めていたもの
溢れ出す血潮に
僕の唇は歪む
引きつるように
微笑むように
最上級の笑顔で
真紅に染まった
僕の服
手にへばりついた血糊を
舌で舐め取ったんだ
飲み干してみたい
最後の残り一滴まで
鼻につく鉄の匂い
僕はそれが大好きなんだ
それの匂いと味こそが
僕の一番好きなもの
キーボードの話
そのまんまです
カタカタカタカタ
無数の羅列を押していく
カタカタカタカタ…
僕らは押されるために生まれてきた
大きさ様々
兄弟達
でも
全員分の名前は分からない周りしか、見えないから
右脇に座るのは弟
左脇に座るのは兄
上にいるのは姉
下にいるのは妹
みんな
おんなじ大きさ
カタカタカタカタ
今日も僕らは押されていく
カタカタカタカタ…
痛いなんて言わないさ
強い力で押されたって
それでも耐える
耐えて見せる
それが僕らの
生まれた意味
一番大きな兄は
一番強く押されてる
一番小さな姉は
一番埃を被ってる
でもね?
僕らが一番
押されてるんだ
カタカタカタカタ…
それでも僕らは
押されることが生き甲斐だ
カタカタ…カタカタ…
二人の意味
「悩み」と「結論」がイメージ
この世で僕ができること
それは一体なんだろう
この世で私ができること
それは一体なんだろう
分からない
判らない
例え世界が
明日終わっても
それは一生
分からない
哲学的な考え
独善的な考え
宗教的な考え
どれも、僕は嫌い
理論的な考え
全体的な考え
腐敗的な考え
どれも、私は好き
なら好きなものはなんなの?
なら嫌いなものはなんなの?
そう
聞いた
返ってきた答えは
誰もが思い付くこと
『そんなものなんてない』
好きも嫌いも関係ない
いつだって
僕は
私は
生きる意味を探しているから
求めたのは自由
求めたのは明日
求めたのは始まり
それが僕の、求めたもの
求めたのは孤独
求めたのは昨日
求めたのは終わり
それが私の、求めたもの
同じではない
けれども同じ
表には裏があり
裏には表があるから
そんな
僕の
私の
考え方
そしてそれが
僕と
私の
生きる意味だから
変化の偶像
「懐かしさ」と「当たり前」
仲間と歩いた
懐かしい道
五感全てが訴える
ここには
楽しい想い出があると
「普段通りだね」
仲間が言った台詞
「当たり前だろ?」
それが
答えた台詞
変わらない笑顔
変わることの無い想い
変えたくない願い
それら全てが
尊くて
儚いもの
みんなで走った
輝かしい道
頭の中で訴える
ここなら
変わらずにいれると
「変わろうよ」
そんなこと言われたって
「嫌だね」
そう
答えるしかなかった
変わりたかった
でも変われない
変える事ができない
それが僕の
想いであり
願いだから
変わること
簡単なこと
変わらないこと
難しいこと
願っても叶わない
そんな
当たり前の事
大好きなあなたへ
「うきうき」をテーマに
あの日二人で見た
輝く星空
その星の輝きは
今も変わらないのかな?
河原に座って
一緒に笑った
あなたが隣にいる幸せを
私は感じていたんだ
「ずっとずっと一緒にいようね」
そんな言葉も言えたんだ
大好きなあなたが
隣にいてくれるのなら
私はずっと
幸せなんだから
あの時眺めた
真っ赤に染まった夕陽
切ない色の空に
あなたは何を思ったの?
二人で笑った
二人で泣いた
感情を共有できる
そんな幸せ
「ずっとずっと大好きだよ」
そんな言葉も言えたんだ
大好きなあなたが
手を握ってくれるなら
好きって気持ちは
薄れないから
「世界で一番、愛してるよ」
真っ赤になって言ったんだ
だって大好きだから
言葉にしなきゃ伝わらないから
そんな言葉に
あなたも真っ赤になりながら
言ってくれたんだ
「俺も、お前だけを愛してるよ」
って