疑惑
7年後ーーー
「イヴァン!そろそろあいつが来るぞ!村に下ろす分の薬はできたかー?」
「ああ、そこにまとめておいたから確認してくれ!」
部屋の扉からひょこっと顔を出す魔女に本を読む手を止めて返事をする。
「うん!よくできているね!さすがイヴァンだ」
「だから!頭を撫でるのはやめろって言ってるだろ!!」
俺は18歳になった。
背は187cm程まで伸び、今では魔女を見下ろす程だ。
子供の頃から整っていた顔立ちも、歳を経るにつれさらに磨きがかかり、大変蠱惑的な魅力を放っている。
魔女は、俺が出会った時と何も変わらない。
これも魔女の力なのだろうか?
彼女は変わらず美しいままだ。
白くて長い指が俺の髪をすくのが心地よくて、身を委ねそうになった所をあわてて跳ね除ける。
チリンチリン
「相変わらず君らは仲がいいね!」
「何勝手に入ってきてんだよ!毎回ノックくらいしろって言ってるだろうが!」
憎たらしい笑いを顔に貼り付けているこの茶髪の男は、魔女の薬を街に卸してくれる中間業者だ。
元々は俺が街まで出ていたのだが、イヴァンの美しさにつられてストーカー行為を仕掛けてくる輩が増えたため、魔女の古くの知り合いであるコイツに依頼をしたという訳だ。
魔女の知り合いという所まではいいのだが、問題はこいつが男だということだ。
いつもヘラヘラしていて掴みどころがないし、魔女と親しげなのも気に食わない。
「やあルイス、久しぶりだね。毎度すまないが今回もよろしく頼むよ!」
「了解した。それにしても君、また魔力が」
「分かっている。もう少しだよ」
ルイスは少し寂しそうに魔女を見つめた。
「何こそこそ話してるんだよ。早く薬もっていけよ!」
「なんだ?エレナを取られるかと心配してるのか?大丈夫だよ、お前の魔女を取りやしないさ」
「別にそんなんじゃねえよ!おいわしゃってするな!」
横からイヴァンの頭を撫でる魔女から逃れつつ、ルイスに薬の箱を押し付ける。
「わかったよ、邪魔者は退散しよう。またな」
ルイスが帰った後、夕飯の支度をするために裏口から野菜を取りに行く。
「ん?なんかいつもより萎びてる?」
『君、また魔力が 』
『 この庭はわたしの魔力で満ちているんだ』
魔女にとっては、魔力が生命源だ。
もしかして、魔女の力に何かが起きているのか?
「考えすぎか」




