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魔女との食事

「ゔ、、お腹がいだぃ」

「当たり前だ。変な色のキノコ食ってひっくり返ったんだから。魔女のくせに馬鹿じゃねえの」


良かった。

あのまま死なれては目覚めが悪い。

一応ベッドに寝かせて、棚の中に置かれていた解毒薬っぽいものを飲ませたが、、さすが魔女の薬だな。

しばらくして目覚めた魔女にお粥を差し出す。


「胃が荒れてるだろうし、これで我慢しろよ。普通の食材もあるんだから変なもの食うなよな」


魔女は皿を受け取ったまま、固まっている。


「なんだよ。こんな気味の悪いガキが作ったものなんか食いたくないってか?」

「、なんだこれは!!とんでもなくいい匂いがする!君は天才か!?!?」

「なっ、こんなもの別に、大したことねえよ」


目をきらきらさせて迫ってくる魔女から顔を背ける。

びっくりした、、褒められたのなんて生まれて初めてだ。

大人は俺が何をしても、気味が悪いの一点張りだったのに。

自分も腹が減っていたので、魔女に作ったものと同じ粥を食う。


「ところで、なぜ君はあんなところにいたんだい?ここは人が寄り付かない魔獣の森だよ。両親はどこ?」

「その両親に捨てられたんだよ。俺は気味が悪いんだとさ」

「そうか」


同情するでもなく、驚くでもなく、淡々と魔女は頷いた。


「自己紹介がおくれたね!私は魔女のエレナだ。君の名前は?」

「、イヴァン」

「イヴァン、しばらく家にいるといい。魔女の家が嫌でなければだけどね!」


ウィンクする魔女をまじまじと見つめる。

幼い見た目で、こんな喋り方をする俺が気味悪くないのか、?

それに同胞を大量に殺した人間だぞ俺は。

憎くないのだろうか、

まともな飯にはしゃぐ魔女と食べる食事は、なんだかいつもよりも美味しく感じた。


「なあ、イヴァン。どうして解毒薬がこれだと分かったんだ?」


ベッドの脇にある小瓶をつまみながら不思議そうにエレナが問う。


「ラベルに書いてあるじゃん」

「薬品名だけでこれが解毒薬だと?」

「そうだけど」


イヴァンは内心ドキドキしながら答えた。

この魔女も、俺が気味悪いと追い出すんだろうか。

初めてありがとうと言われた時の、魔女のキラキラした目が失望に染まるのが怖い。

目をぎゅっとつぶって、続く言葉を待つ。


「ねえ、私の後継者にならない?」


後継者?何を言ってるんだろうこいつ。

こんな子供で、こんな口調で、可愛げの欠片もない俺を追い出したくなったんじゃないのか?

唖然として魔女を見つめる俺に、困ったような笑いを浮かべて言葉を続ける。


「諸事情でね。そろそろ後継の者を探さねばと思っていたんだ。イヴァンはその器になりうると私の直感が告げているんだが、やはり魔女の後継など嫌だろうか?」

「俺を追い出すんじゃないのか」

「なぜ?私を毒から救ってくれたじゃないか。それに、その歳で専門性の高い薬学の知識を持つ子供はそういない。君の作るご飯もとても気に入ったしね!」


満面の笑みでこちらを見る魔女が眩しくて、目を細める。

なぜだか涙がこぼれそうだ。

歯を食いしばり、必死でこぼれ落ちるのを堪える。


「まあ、ゆっくり考えたらいいさ。どうせ君はまだ行くところがないんだろ?ここにいる間に考えたらいい」


魔女は俺の頭をくしゃくしゃと撫でて、食べ終えた皿をキッチンに運んでいく。


「ま、エレナ!」

「どうした?」

「俺、薬学がすきなんだ!」

「おお、それは助かるな!後で採取に行くから、是非とも手伝ってくれ!」

「後継者、なってやってもいい」

「、本当に?魔女の後継者だよ?」


俺のことを子供だからと侮ることも、気持ちが悪いと蔑むことも無く、真っ直ぐな言葉をくれる魔女を、俺も真っ直ぐに見つめる。


「だからなんだ!俺がいいって言ってるからいいんだよ!」


しばらく不思議そうに俺を見つめていた魔女は、次第に可笑しそうに笑い始めた。


「そうか!そうだよな、イヴァンがいいなら託そう!私のしごきは厳しいぞ?」

「望むところだ!」


魔女は再度笑いながら、意気揚々と拳を握る俺を見つめる。


「じゃあこれからよろしく!後継者イヴァンよ!」

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