風変わりな魔女
初投稿です!
チラッとでも読んでくださったら嬉しく思います!
『やあ!こんな雨の日にどうしたよ、少年 』
親から気味が悪いと森に捨てられた俺を救ってくれたのは、やたらと陽気な魔女だった。
俺は普通の人間よりも、遥かに早く言葉を理解し始めた。
11歳となった今も、ろくに笑わず、子供らしい遊びにふけることもなく難しい学術書を読み漁る俺に、友人などできようはずもなかった。
周りの人々はみんな彼を気持ち悪いと罵り、近づこうとはしなかった。
それは彼の両親も例外では無い。
「本当になんの可愛げもないわね、気味が悪いわ」
「お前には心がない。産まれてくるはずじゃなかったんだ」
「お前がいるせいで村に居場所がないのよ!気持ち悪い。呪われた忌み子、、目のつかない場所にいてちょうだい」
そんな両親の罵倒にも、心が痛むことはなかった。
両親が俺を山に捨てようと隠れて話している時も、強く腕を掴まれ山に向かう時も、このまま捨てられるのだろうと知りながら、何の感慨もわかなかった。
山に捨てられてから2日間、この山には猛獣が出る。
下手に動いたところでこんな子供の力ではどう足掻いても生き延びることは不可能だろう、そう悟った俺は静かに命が尽きるのを待っていた。
「やあ!こんな雨の日にどうしたよ、少年!」
「誰だよ。オバサン」
「おばっ、おばさん!?レディーに向かってなんてことを言うんだこのガキ!」
「いてえ!」
その女はやせ細った俺の首根っこを掴み、ズルズルと近くの山小屋まで連れ込んだ。
誰だこいつ?人さらいか?
鼻歌を歌いながら暖炉に薪をくべる女を注意深く見つめる。
ぐぅぅぅ
俺は咄嗟に腹を抑えた。
「腹減ったのか?」
「、、余計なお世話だ」
「そうツンケンするなよ!ちょっと待ってろ!」
女はキッチンへ向かうと、木の実やら生野菜をそのまま皿に盛って出てきた。
中には奇天烈な色をしたキノコもあり、俺は意味がわからず、唖然と女を見つめた。
「食わねえのか?」
「食えるかこんなもん!!」
いくら腹が減っているからと、得体の知れない女の得体の知れないものなど食えるわけが無い。
死を覚悟はしたが、自殺願望なんてのはない。
こんな奇天烈なキノコを食べて死ぬなんてマヌケな死に方はごめんだ。
「はらへってるんだろ?」
不思議そうに首を傾ける女は、真っ先に変な色のキノコを掴み、口に放り込んだ。
「うぐっ、、」
バタン!!
「、、馬鹿なのかこいつ。」
明らかに毒キノコのビジュアルだろ。
怪しいキノコを食しひっくり返った女を引きつった顔で眺め、今の状況を整理すべく周りを見渡す。
山小屋の中は風変わりなものでいっぱいだった。
大きな鉄製の鍋に、女の背の倍はあろうかという棚の中にはおぞましい色味の液体が入った瓶が並んでいた。
床には薬のレシピのような紙束や、大小様々な本の山が積まれている。
こいつ、魔女か。
黒い髪に赤い目、長いローブを纏うその姿から、何となく想像は着いていたが、、これ程若い女だとは思わなかった。
俺の村では、魔女は忌避の対象だ。
その昔、魔女と人間は協力関係にあった。
魔女は人間の病気を治す薬を作り、占いで人間を助ける代わりに、金や食べ物で見返りを貰っていた。
そのうち魔女に危害を加えられたと吹聴した人間が現れ、魔女の人智の及ばない力に恐怖していた人間達は集団で次々と魔女を捉え、公開処刑にしていった。
大規模な魔女狩りの後、随分と数を減らした魔女たちは、人目のつかない山奥で細々と暮らしているらしい。
要するに人間は魔女を大量虐殺した為に、その報復を恐れ、魔女を忌避しているのである。
馬鹿馬鹿しい。
魔女は1人たりとも人間を殺してはいない。
魔女に危害を加えられたと言った人間も、魔女への恐怖心から大袈裟になってしまっただけの事だろう。
一方的に大量虐殺を起こし、あまつさえ虐殺した側の人間が魔女を忌避しているとは、なんとも間抜けな話だ。
人は自分と違うものを恐れるのだ。
それを身を持って体験してきた俺は、改めて魔女に向き直った。
「っだーくそ!このまま死なれても目覚めが悪いし、、」




