かすみ草の花嫁 第4話
千鶴子はびくびくしながら芳子の待つ客間へと向かう。芳子は昨日の事を根に持っているのだろうか?
千鶴子は恐る恐る客間の扉をノックする。
「どうぞ」
中から芳子の声がする。声のトーンは優しい。千鶴子は失礼致しますと言って客間に入る。客間の席に芳子が座っていた。千鶴子に向かいの席に座るように促す。
「あの、昨日はすみませんでした。」
千鶴子は頭を下げる。
「ハンケチは今洗ってますので乾いたらお返しします。」
「顔を上げて。僕はそんな事で来たんじゃないよ。僕はただ君の事が知りたいだけだ。」
芳子は千鶴子の手を掴み客間から出る。
「ちょっと芳子様!!どこに行くのですか?!」
芳子は千鶴子の手を引いて屋敷を出ると馬車に乗せる。
「僕の事は知ってるみたいだね。」
「はい、杏珠さんから聞きました。」
「じゃあ僕が女って事も?」
「はい。」
「だったら話は早い。」
「あの、私今勤務中なのですが?」
「安心して、君の雇用主には許可を取ってある。千鶴子ちゃん。」
「なぜ私の名前を知ってるのですか?」
「石原さんから聞いたよ。君が日本で家族から酷い目にあってた事もね。」
千鶴子は気まずそうに下を向く。
「さあ、着いたよ。」
馬車はブティックの前に泊まる。馬車が扉が開くと馭者が台を置いてくれる。芳子が先に降りると千鶴子に手を差し伸べてくれる。
「君、」
店内に入ると芳子は女性店員に声をかける。
「彼女に似合う飛び切りのチャイナドレスを。」
店内を見渡すと金の刺繍が入ったチャイナドレスやパールのアクセサリーが並べられている。
千鶴子は試着室に入ると店員に次から次へとチャイナドレスを着せられる。赤地に紫の花模様のもの、黄色の生地緑の草木が描かれてるもの、ピンク色に金の刺繍が入ったものと着せられていくが千鶴子の満足するものはない。
次に純白なチャイナドレスを店員が持ってくる。千鶴子は着て姿見の前に立つ。千鶴子は少し口角をあげる。
「芳子様を呼んで下さる?」
「はい、」
店員は試着室のカーテンを開き芳子を呼びに行く。
「千鶴子ちゃん」
芳子は近くにいたのか店員に気付き試着室の前にやってくる。
「千鶴子ちゃん、綺麗だ。」
芳子はチャイナドレスの千鶴子を目の前にして頬を赤く染める。
「こちらを頂くよ。」
千鶴子は脱ごうとしちて試着室のカーテンを閉めようとする。
「待って」
芳子が千鶴子の手を掴む。
「せっかくだから着たまま出かけよう。」
店員に値札を取ってもらい芳子が会計に向かおうとする。その時千鶴子はアクセサリーが並んだ棚の前で立ち止まる。
「お客様、何か気になるものはございますか?」
「はい、このネックレスが」
千鶴子が目に止めたのはチャイナドレスと同じ白色のかすみ草のペンダントであった。




