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かすみ草の花嫁 第3話

千鶴子は頬を赤く染めながら美青年将校を見つめる。

「あの、」

千鶴子は言葉を詰まらせる。

「初めて見る顔だから。頑張ってね。」

将校は千鶴子の頭を撫でると上官らしきもう1人の軍人に着いて屋敷の中に入る。

「千鶴子、千鶴子」

「あっ、はい。」

杏珠に名前を呼ばれふと我に帰る。

「何をぼけっとしてるんだい?お客様にお茶の用意をするんだよ。」

「はい」

千鶴子は屋敷の中に入ろうとする。

「貴女、芳子様とどういう関係だい?」

杏珠が呼びとめるように千鶴子に尋ねる。

「芳子様とはどなたですか?」

「誰ってさっき話してた将校よ。」

「芳子って女性みたいな名前ですね。」

「はっはっはっ」

杏珠が大声で笑い出す。

「知らないの?!男装の麗人川島芳子だよ。」

「男装って女の人なのですか?!なぜ女の人が日本軍に?!」

「さあ、何でも元はどっかの王朝の王女様だったとか。王朝を復活させるために日本軍と手を組んでるって歌だよ。」



 千鶴子は台所に行き3人分のお茶を入れると客間へと持っていく。

「失礼致します。」

客間には石原、芳子、それからもう1人芳子の上官がいた。

「君か」

芳子は千鶴子に気付く。千鶴子は再び頬を赤く染めると芳子から視線を逸らす。千鶴子の頭の中で杏珠から聞いた話を巡らせていた。

(この人は女で王女様)

ぴったりとハマった軍服からは想像がつかない。千鶴子はトレイをテーブルの上に置きカップを石原、芳子の上官の前へと置いていく。最後のカップを芳子の前に置こうとした時


「きゃあ!!」


千鶴子はカップを落としてしまう。床に紅茶が溢れカップの破片が飛び散ってしまう。

「申し訳ございません。」

芳子に謝罪すると千鶴子は破片を拾いエプロンの上に乗せる。

「痛っ!!」

破片の尖った部分が指に触れる

「指切ったみたいだね」

千鶴子の指から血が出ていた。芳子が千鶴子の腕を掴む。軍服の内ポケットの中からハンケチを取り出し千鶴子の傷口に巻く。

「これでもう大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

千鶴子は破片を全て拾い上げると部屋を後にする。




 翌日千鶴子は庭で洗濯物を干していた。その中には昨日芳子が巻いてくれたハンケチもあった。

「芳子様、美しいだけでなく優しいお方なのね。」

洗濯籠の中から芳子のハンケチを取り出し布団のシーツやシャツ、ズボンがかかっている物干し竿へとかけ皺を延ばす。


「千鶴子!!千鶴子!!」


大声で自分の名前を呼ぶ声がする。杏珠だ。

「杏珠さん!!」

千鶴子が名前を呼び返す。

「千鶴子、探したよ!!」

屋敷の陰から息を切るして走って来た杏珠か現れた。

「大変だよ。貴女昨日芳子様に何したの?」

「芳子様がどうされたのですか?」

「どうされたもないよ。」

杏珠が玄関の鉢植えに水をやってると芳子が1人でやって来たという。

「旦那様は留守だって言ったけど貴女に用があるって言うんだよ。」


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