表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

ショートショート5月~3回目

相棒よ、ここで、永遠に…おさらばだ

作者: たかさば
掲載日:2022/05/31

 ……ザっ、ザっ、ザっ、ザっ。



 朝、六時。


 孤独に歩を進める、私の足底に。



 ……ガッ!!



 いくぶん大ぶりの、刺客が襲いかかった。



 コロ…、コロッ……!!



 右足の裏、前方やや左寄りで圧迫された武骨なフォルムの曲者は、勢いよくアスファルトの上を転がり、天を仰いだ。


 小石が集積したアスファルトの上で、その身を堂々さらけ出す…ホワイトグレーの、塊。


 私の足元を狙うとは…なんという……策士。

 危うくバランスを崩して、転倒するところだったではないか。

 こんなにもごく自然に大地に紛れ込み、健康な人間の関節を痛めつけようと画策するとは。


 私の体勢を崩そうと企てた罪は……重い。

 3センチ程度の大きさで、165センチの肉体を転ばせようとは、許しがたい。


 その悪行、許されると思うなよ!!


 お前は今から……市中引き回しの刑に処する!!


 ……ガッ!!

 …コロ、コロ、カッカカカカカッ……!!


 勢いよく犯罪者を蹴り飛ばしながら、人けのない道を行く。


 ……ガッ!!

 ……カッ!!


 時に縁石にぶち当たり、時に道路の真ん中に踊り出し。


 ……ガッ!!

 …コロ、コロ、…コロ、コロ、カッカカカカカカカ……!!


 時に予測不可能な場所への逃亡を試み、老いた身を無駄に走らせ。


 ……カッ……カッ……、ガッ!!

 …コロ、コロ!!


 時に豪快な空振りを企て、気弱な一般人に恥に塗れる瞬間を見舞い。


 心を乱し。

 集中力を与え。

 やる気を呼び起こし。

 粘り強さが生まれ。


 気ままに転がり。

 自由に止まり。

 ナイスキックをスルーし。

 失態をあざけ笑い。


 思いがけず軽快に進み。

 信じられない奇跡をおこし。

 感動を呼ぶ物語を生み出し。


 出会って、およそ…20分間。


 私と、刺客の間に発生した…確かな、縁。

 私と、曲者の間に交わされた…確かな、契約。

 私と、策士の間に結ばれた…確かな、信頼。


 この、およそ27㎥の堆積岩と、40㎥の人体の間にある、確かな…絆。


 蹴ることを任せ、転がる力を得て。

 道を行く力を与えて、進むべき道を教示され。


 互いを信頼しているからこそ、身を預けることができる、この、関係。



 ……ガッ!!

 …コロ、コロ、カッカカカカカッ……!!



 ああ、お前は……私の、相棒。



 ……ガッ!!

 …コロ、コロ、カッカカカカカッ……!!



 お前がいて……俺は、ここまで、くる事ができた。



 ……ガッ!!

 …コロ、コロ、カッカカカカカッ……!!



 運命を共にする、相棒……よ。



 ……ガッ!!

 …コロ、コロ、カッカカカカカッ……!!



 共に、この世界を……制そうではないか!!!



 ……カッ!!



 ひときわ力強い、私の一撃を受け止めた、相棒は。



 ……じゃっ。


 

 前触れもなく、突然……、公園横の駐車場を構成する、砂利に混じった。



 ……おうふ。


 どれが相棒だか、見分けが……つかん!!!


 ……わざわざ屈んで探すほどでも、ないか。



「……さらばだ!!」



 私は、潔く、別れを告げ。


 かつての相棒を振り返ることなく、公園の階段を、登ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 相棒の捜索をあっさり諦めるところがリアルでいいですね(笑)
[一言] 子どもの頃は、蹴ってましたね〜。 無事に家まで到着することは稀だった気がしますけど。道路わきの溝とかね、舗装されていない道とかね。ありりましたからね〜。昔は。
[一言] 小石とか砂利とか空き缶なんかを蹴りながら下校した事もありましたねー なつかしや (u_u*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ