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4人目の仲間

「あなた、どうして私とアレスくんの名前を知って……って、未来から召喚したんだから当然か」


「まさか俺って、未来では結構有名人なのか?」


 悪い意味で有名人じゃなければいいんだが。


「そりゃあもう。魔王アドラメレクを倒した伝説の勇者として、歴史の教科書に載っています。私を見に来た観覧客がそう言っていたので間違いありません!」


「おかしいな」


 レイカさんが口を挟む。


「私が来た時代では、アレス・ルーラオムなんて名前、伝わっていなかったが?」


「あぁ、あなたが過去に転生したことで、未来が変わったんですよ。私とあなたは、違う世界線の同じ時代から来たというわけですね。それと、」


 ヴィヴァーチェは何やら小難しい論を展開した後、レイカさんを指さした。


「あなたはあくまでアレス様の右腕に過ぎません! アレス様を気安く呼び捨てにしないで頂きましょうか!」


「とか言っているけど、どうするアレスくん?」


 レイカさんはヴィヴァーチェの右腕を掴み、全身を水平にブンブン振り回しながら訊いてくる。大した膂力だ。


「ウワーーーーーッ、うぷっ。吐きそうです。すいません生意気な口を利きました。許してくださいなんでもしますからぁぁぁああああ!」


「よろしい」


 ヴィヴァーチェはようやく地面に下ろされ、目を回しながら倒れ込んだ。


「ハハッ、レイカさん容赦ないですね。まぁとにかく、レイカさんは俺の命の恩人なんだ。レイカさんに失礼な態度はとらないように頼むよ」


「うぅ、承知しました」


「でも人間に変身できる魔剣って便利だよな。相手に非武装だと思わせて油断させることもできる。これはうまく使いこなしたいところだな」


「そうです! どうぞ私を使いこなしてください! アレス様のお役に立てるのなら、この刀身が鉄粉となっても後悔はございません!」


「いや、命は大事にしてくれ。俺なんかを慕ってくれる仲間は一人として失いたくはない」


 それは切実な願いだった。対して、ヴィヴァーチェの顔はみるみるうちに紅潮していく。


「私を一振りでなく一人と数えてくださるのですね。さすがはアレス様! 全霊を以てお仕えします!」


 いちいち言うことが大げさだが、頼もしい仲間が増えたな。メドロックに追放されショックを受けていたが、なんとなくヴィヴァーチェといると心が癒されていくような気がした。


「ハハッ、ほどほどに頼むよ」


 俺はそう挨拶し、ヴィヴァーチェと握手した。


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