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国外逃亡

 そんなことを訊かれても困る。俺にだってこのスキルの正体は分からないんだからな。


「分からな……」


「おいレイカ。公爵家の人間に手を出したのはマズい。すぐ逃げるぞ」


 突然現れた男が、レイカさんに声をかける。


「待って。あれは私の家なの。何か、何か証拠があるはず……」


 うわ言のように呟き、レイカさんは廃屋に向かって歩き出す。


 ただでさえボロ家だったのだ。さっきの【星穿ち】でもうバラバラだ。


「何か……あ、これは……」


 レイカさんは何やら肖像画のようなものを手に取り、泣き始めた。こらえているが声が漏れ出てしまう。そんな泣き方だ。


「おいレイカ」


「ごめんゼスト。今行く」


 振り返ったレイカさんは、すっかり涙が止まっていた。


「王国軍がすぐそこまで来てる。もうこの国にはいられない。逃げるぞ」


「待ってください」


 俺は思わず叫んでいた。


「俺も、連れていってくれませんか?」


「あいにく、うちは即戦力しか仲間に入れない主義なんでね。申し訳ないが……」


「いいよ。連れて行ってあげる」


 ゼストというらしい男の言葉を遮り、レイカさんは快諾した。


「おいレイカ。俺たちの目的を忘れたわけじゃないよな?」


「もちろん覚えている。魔王討伐だ。だからこそ、だ。アレスくんのスキルの本質は、ただの【廃屋召喚】ではない。私の実家を召喚できたのだから、それ以上の可能性を秘めている」


 レイカさんは確信を持った様子で答える。


「仕方ない。そこまで言うなら三人で逃げる! 来い! ボルボロス!」


 ゼストが叫ぶと、地面がパックリと割れ、巨大な口が現れた。


「え」


 叫び声を上げる暇もなく、俺たちはその口に飲み込まれた。


 口の中なのに、不思議と臭くないし、唾液もかからない。


「あの、この生き物は?」


「ボルボロス。俺が飼いならしている地底竜。ドラゴンだ。大丈夫。レイカが結界を張っているから、噛み砕かれる心配はない」


 ドラゴンといえば、伝説的な希少種だ。それをゼストさんは飼いならしているのか。信じられない話だ。


 やはり、こんなチートスキルを持つ人間と比べれば、俺はゴミだ。


「落ち込むことはない、アレスくん。スキルなんてものはアクセサリーでしかない。その人物の本質とは程遠いものだ」


 俺の心中を察したのか、レイカさんは励ましてくれる。


「ですが、この国ではスキルの価値が、そのまま人間や家の価値と直結するんです」


「国を出れば関係ないね。かく言う私も、実はスキルを持っていない。武技を磨いてここまで来た。それこそ、王国最強のスキル持ちを倒せるくらいにはね」


 衝撃的な事実だ。


 スキルなしで、あれだけの大立ち回りをしてみせたのか。レイカさん。底の知れない人物だ。


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