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実家追放

「何の騒ぎです?」


 見上げると、メドロック兄さんが扉を破って入ってきた。


「兄さん、助けてください。あのおじいさんが念力で私のことを……」


「そんなことはどうでもいい」


 メドロック兄さんは、信じられないほど冷たい声で俺の言葉を遮った。


「あれがお前のスキルなのか? アレス?」


「それは……」


「その通りです。メドロック様。このアレス・ルーラオムが覚醒したのはボロ家とゴミを一緒に召喚するクズスキル。名付けて【廃屋召喚】とでも言いましょうか。役に立たないどころか害悪でしかないスキルです」


 神官のジジィが代わりに答える。


「そうか」


 兄さんはしばらく無表情のまま考え込む。


 一体何を迷うことがあるのか? 俺を痛めつけた神官のジジィに抗議してくれるんじゃないのか?


「アレス。お前は一族の恥さらしだ。今日でお前をルーラオム家より追放する」


「え……」


 助けてくれるんじゃないのか? いつもそうしてくれたじゃないか。


「い、嫌だ。なんで俺が追放されなきゃならないんだ! きっと何かの間違いだ! そうだ。やり直しを……」


「アレス」


 またしても、メドロック兄さんは俺の言葉を遮った。


「見苦しいぞ。これ以上恥をさらすようなら、今この場で叩き斬る!」


 冗談ではない。本気の発言だ。


 兄さんは、いや、メドロック・ルーラオムは、こんなにも簡単に家族を切り捨てられる男だったのか。


 逃げなければ。


 もう名誉がどうとか言ってられない。逃げなければ、今この場で殺される。


 だがメドロックは、ゆっくりと抜剣し、こちらへ歩み寄ってくる。


 まずい。


 さっきの念力の衝撃で、身体が痺れて動けない。


 這いずり回る俺の首を掴み、メドロックは剣を水平に構えた。


 だが次の瞬間、俺の眼前を凄まじい速度で影が通り過ぎた。


 見ると、女剣士だった。見たことのない服を着ている。黒髪で、東洋風の顔だち。防具はなし。ロングソードだけを腰に佩いている。


 メドロックの握っていた剣は、奪い取られていた。


「なんだ? これはルーラオム家内部の問題だ。邪魔をするなら……」


「あー、邪魔をするかどうかはそこの少年の返答次第だ。君、アレスといったね? どうして私の実家を召喚できた?」


 何を言っている?


 俺が召喚しようとしたのは自分の部屋だ。


 こんな初対面の女の実家など、召喚できる訳がないだろう。


 からかっているのか? それとも、この女の実家は本当にこんなゴミ屋敷なのか?


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