あの日々の記憶
ふわっと風が通り抜けた春。
桜の匂いと共に私は中学生になった。
あの青春の始まる音を私は忘れたことがない。
まだ慣れない制服と
知ってる子知らない子に混じって
私はうきうきしていた。
この道を通るといつでもあの日に帰れる。
でも目に写る色だけは違っていた。
*
私には親友がいる。
高岡萌香、もえちゃんだ。
もえちゃんは気が強い、力も強い、でも乙女で、端正な顔立ちをした女の子。
クラスは離れたけどもえちゃんと部活動見学に行って帰りに駅の裏で1時間以上話して帰る。
そんな日々を送りながら
そろそろ部活決めなきゃなって考えていた。
興味があったのはバスケ部、吹奏楽部、卓球部。
バスケ部は先輩が怖そうだった。
吹奏楽部は練習がきつそう。
卓球部にきまりだ。
もえちゃんに卓球部に入るんだと話すと
もえちゃんも卓球部に入ると言った。
嬉しかった。
クラスは違っても、もえちゃんに会える。
私たちはやっぱり親友だ。
*
部活が始まった。
一年は球拾いと壁打ち、そして逆立ち特訓。
片付けのときになると先輩よりも早く卓球台を片付けに走る。
『先輩、代わります』
私は勇気を振り絞って声をかけた。
すると笑顔で『大丈夫だよ、ありがとう』
と返ってきた。
強烈なスマッシュが私の心に打たれた。
一目惚れ
それ以上も以下もなかった。
これが恋が始まる音なのか…
はじめての恋だった。
*
先輩は一つ上の琴浦先輩
山中太郎物語に出てくるニノにそっくりだ
足はすらっと肩幅は広い逆三角形の体型
走り方はちょっぴりヘンテコ
人を小馬鹿にしたような事を言うが
たまにすごくセンチメンタルな表情を見せるのが魅力的だ
言葉にすればキリがない
あっという間に後戻りできなくなった