はじめに
私がこの本を書こうと思ったきっかけは、勤めている大学で教えている一年生の生徒にこう言われたからだ。
「先生。魔法学の教科書って難しすぎませんか?」
目から鱗であった。学術書ならともかく、大学で用いる魔法学の教科書に難しい論理構成などは用いられていないと思っていたからだ。
だが、彼はこう続けた。
「難しい言葉ばかり並んでいると、頭の中がパンクしてしまって全く頭に入ってこないんです」
そうはっきりと言われ、私は頭の中の霧が一気に晴れた気がした。彼らの言う「難しい」とは、「言葉を理解するのが難しい」ということであり、「論理を理解するのが難しい」では決して無かったのだ。
それならば、今の教科書の流行のように論理を丁寧に記述すればするほど、皮肉にも理解しにくくなってしまう生徒が出てきてしまうということだ。
で、あるならばと思い私はすぐに筆を取った。困っている生徒がいるならば放っておけないからだ。
前振りが長くなった。というわけで、この本では炎魔法について出来るだけ簡単な言葉で書くように努めた。そして最後には実践的な炎魔法を載せ、モチベーションの向上も図った。
皆さんがこの本を通じて炎魔法の楽しさ、面白さを存分に感じていただけることを心から願っている。