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ある晩の犬と猫

その日の夜。



城の皆が寝静まった頃、犬は目を覚ましました。

何も見えませんが、なんだかとても嫌な気配を感じます。


その頃、猫は薄明るい月をお供に木の上を散歩していました。


上の方からバサリバサリと音がして猫が頭上を見上げると木の枝にコウモリが止まろうとしているのが見えます。


猫はそっと木に登ると後ろからコウモリに飛びつきました。


急に何かに襲われて、びっくりしたのはコウモリです。


バサバサバサバサ


コウモリは、慌てふためき飛んで逃げて行きました。


猫は再び月をお供に塀の上を歩き出します。

まるで、コウモリを追いかけるように。



その頃の犬は「ウーっ」と低いうなり声をあげながら辺りを警戒していました。

いやな気配を探るようにじっと木陰を睨みつけます。



一方、猫の散歩はまだまだ続きます。追いかけていたコウモリは見えなくなってしまいました。

猫は目を大きな目をさらに大きくさせながらトンと木から降りました。


そこは、かぼちゃ畑の中。


お月様に照らされたお化けみたいなかぼちゃの影から1匹のトカゲがチロチロ動いているのが見えます。


猫は、そうっとかぼちゃに近づくと葉の上からトカゲを抑えました。


『急に何かが落ちてきた‼︎』

トカゲは逃げようとしましたが、シッポをしっかり抑えられていて動きたくとも動けません。


ぷ、ぷ、ぷ、ぷつん。


トカゲは慌てふためきシッポを切って逃げ出しました。


猫はトカゲのシッポをコロコロ転がしてしばらく遊んでいましたが、そのうちに飽きてきたのでしょう。

トコトコトコトコ再び歩き出しました。




ちなみにその頃、犬はまだまだ辺りを警戒していました。

鼻をヒクヒクさせながら辺りをうかがいます。




お月様は散歩に飽きたのか雲の影に隠れてしまいました。

猫は元々大きかった目をさらに大きくギラギラさせて辺りを見渡します。

すると、小さな道具小屋に穴が空いているのが見えました。


『あの穴はきっとヤツの巣穴にちがいない』


ちょうど猫の頭が通りそうな穴です。

猫はニンマリと笑うとひゅっと穴に飛び込みました。


まっくらな穴の中......そこではネズミ達が集会をしていました。


急に飛び込んできた猫にネズミ達は驚き叫び声をあげます。


チューチュー‼︎

ぢゅう‼︎

ぢゅううちぅ‼︎

ヂュウヂュウ‼︎


ドタバタドタタタドタバタドタドタ。


ネズミ達はパニックになりながら一目散に逃げ出します。

猫はたくさんのネズミを追いかけ回します。


あっちへチョロチョロ。

こっちへチョロチョロ。


そしてそ中でも一際大きな太っちょネズミにガブッと噛みつくと穴からポンッと飛び出しました。


そのまま、走って走って猫がお城の塀に登ると犬の姿が見えました。

外にはもうお月様はおらず東の空がうっすら明るくなっています。



塀の上から猫はプッとネズミを吐き出しました。



少し明るくなった空の下。

犬はまだ辺りを警戒していました。

さっきからどんどん近づいてくる知らない人間の臭いに唸り声はさらに強くなってゆきます。

ふと、知らない臭いになんだか知った臭いが混ざった気がして顔を上げると...。


ドサっ!!


犬の目の前に、何かが突き飛ばされたように落ちてきました。


「ヴーッ、バウワウワウワウッ‼︎‼︎‼︎」

「ギャー‼︎痛い、痛いっ」


犬はけたたましく吠えるとその何かに跳びかかりました。

その途端、城に響く何かの叫び声‼︎

その声を聞き、城の兵士達が集まってきます。


「なんだ、なんだ?おっ、こりゃあ......」


長いローブに杖を持った如何にも魔法使いといった風貌の男が犬に押さえつけられていました。


そのローブの羽根ような袖はズタズタに切り裂かれ、シッポのような長い杖も折れています。そして、体は狭い所を走り周ったかのように汚れていました。


「お前、また賊を捕まえたんだな。偉いぞ。おい、誰か王へのご報告を。それと、この賊を牢へ連れて行け」


兵士長がそういうと犬を撫でながら、男の上から降ろしました。

二人の兵士が連行するために男の両脇を抱えます。


「痛い、痛い。腹と足を噛まれてるんだ。そうっとはこんでくれぇっ」


男がヒィヒィと情けない声をだしながら運ばれてゆきました。


「お前が腹を噛むなんて珍しいな。いつもは逃げられないように足しか狙わないのに」


兵士長が首を傾げます。

犬が真面目な顔で彼を見上げていました。


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