春雨さんと鬼ごっこ
「公園に遊びに来たはいいけど」
「子どもたちが鬼ごっこに勤しんでますね」
「いつの世も鬼ごっこは遊び継がれるものなのね」
「広く使ってるからベンチに座ることしかできないですね私たち」
「公園は子どもの特権だから仕方ないわ」
「ベンチに座れるだけありがたいと」
「こうやって元気に駆け回る童子を眺めるのもまた一興よ」
「私たちも混ぜてって言ってきましょうか?」
「あなた鬼ごっこやりたいのね」
「見てると懐かしくなっちゃって」
「でもやめときなさい子どもたちから見たらわたしたちは巨人よ」
「そこまでじゃないでしょ」
「折角あの子たちだけで楽しんでるんだから眺めるだけにしときなさい」
「眺めるのも充分あやしいですけどね」
「それにしても鬼ごっこなんて小学生以来かしら」
「私は中学の頃もやってましたよ」
「あなたの懐かしい基準は一、二年前程度なのね」
「校庭だけじゃなく校舎全体を使ってやってました」
「大規模ね」
「しかも途中で知らぬ間に参加者が増えてるんです」
「自由な鬼ごっこね」
「広いし参加者多いしで途中から誰が鬼かわかんなくなるんですよね」
「学校鬼ごっこあるあるね」
「鬼じゃないふりして近づいてきてはいタッチってやる奴も多かったですね」
「あなたもそれやったクチでしょ」
「私あんまり足速くないですからねえ」
「狡猾なあたり正に鬼ね」
「だから誰か近づいてきたらまず警戒ですよ」
「そこに安らぎはないのね」
「鬼? 鬼? て聞きながら結局逃げるしかないんですよね」
「心理戦に運動要素を加えたスリリングな遊びだったのね鬼ごっこって」
「最終的に鬼が複数人になりますからね」
「無法地帯極まりないわね」
「春雨さんのところはそんなんじゃなかったんですか?」
「わたしのは走らない鬼ごっこだったから平和だったわ」
「いや走れよ」
「疲れちゃうし廊下走ったら怒られるでしょ」
「なんなんですかその真面目な鬼ごっこは」
「むしろ走ったら強制的に鬼になるルールだったわね」
「そんな堅苦しい鬼ごっこは鬼ごっこじゃない……」
「なんだか鬼ごっこの話してたらやりたくなってきたわね」
「あの子たちに混ぜてもらいますか!」
「わたし逃げるからあなた鬼ね」
「え、二人だけで!?」




