春雨さんとジューンブライド
「ジューンブライドの時期ね」
「六月に結婚式を挙げると幸せになれるあれですか」
「あなたには縁のないものね」
「お互い様ですよ」
「もし仮にあなたが結婚するとして」
「仮にですか」
「ほんとに仮よ。万が一の可能性。空から柿の種が降ってくるぐらいの確率で」
「言いたいことはわかりますがその確率はよくわからん」
「たとえ未来永劫できないだろうけどほんとに仮で」
「いいから早く話を進めろよ」
「式を挙げるならいつがいい?」
「少なくとも梅雨は嫌ですね」
「ジューンブライドを真っ向から否定してきたわね」
「そもそもヨーロッパの六月ですし」
「あっちは雨も降らず気候も穏やかだもんね」
「だからそれと似たような時期がいいですね」
「四月とか十月?」
「ですです。それも晴れの日で」
「その方が招待される側も良いわよね」
「そういや春雨さん、この間結婚式に行ったんでしたっけ」
「遠い親戚のね。面識なかったんだけど親が無理矢理ねー」
「どうでした?」
「どしゃぶり」
「ど……」
「そして大風」
「でも挙げた人は幸せになれますし」
「行った人も幸せになれるとかそういうのはないの?」
「そんなおこぼれみたいなのないですよ」
「でもブーケトスとかそんな感じでしょ」
「話せば話すほど泥沼になりそうだから中断しましょうか」
「そういえば式の帰りに水たまり踏んだわ」
「あなたの場合自主的に踏みに行くからそれは自業自得」
「でも花嫁さんは綺麗だったわ」
「良かったじゃないですか」
「でも総合的に見ると良いことよりも悪いことのほうが」
「あー、中断中断」




