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春雨さんと十円玉貯金
「前々から十円玉貯金を続けてるんですよ」
「ちょっと貯金する桁少なくない?」
「十円も積もれば山となるんですよ」
「一日いくら入れるの?」
「十円だけです」
「それじゃあ一年でも四千円届かないじゃない」
「大事なのは継続することなんですよ」
「ふむ」
「物事を継続する力を養うために行うと言っても過言ではありません」
「お金を貯めることが目的じゃないのね」
「ちゃんと別に貯金はしてますから」
「あなたにしてはなかなか良い心がけじゃない」
「そうでしょう私だってやるときはやるんですよ」
「いま何枚入ってるの?」
「八枚ぐらいですかね」
「いつから始めてるの?」
「一か月前くらいですかね」
「それでよく継続がどうの言ったものね」
「違うんですよ十円玉を丁度切らしてたときがあったんですよ」
「十円玉切らすってそうそうないわよ」
「私は宵越しの銭は持たない主義なんです」
「あなたほんとに貯金してるの?」
「……三千円くらい」
「これから毎日の缶ジュース代を貯金しなさい」
「そんな殺生な」
「一ヶ月我慢すれば十円玉貯金一年分を楽に超えるのよ」
「一ヶ月ジュース我慢するくらいなら貯金なんかしませんよ」
「継続力が吹き飛んでいったわ」




