56/122
春雨さんとシャボン玉
「シャボン玉買ってきたわ」
「やれと申しますか」
「たまにやりたくなるのよね」
「汚れるから部屋ではやりませんよ」
「じゃあ外に出ましょ」
「あいにく大雨なんですよねえ」
「雨の日のシャボン玉ってなかなか風情あるのに」
「え、割れないんですか?」
「試してみる?」
「いきましょう!」
「そういうとこ好きよほんと」
「雨に濡れても割れない!」
「すばらしいでしょう」
「これが力……!」
「目覚めてしまったのね」
「そういやシャボン玉って歌ありますよね」
「屋根まで飛ぶやつ?」
「そして壊れて消えるやつです」
「物騒ね」
「あんな小さな泡で屋根を飛ばすんですよ」
「言葉どおり捉えたらなかなかの惨事だけどね」
「きっと液を泡に変換することで強い引力が加わるんですよ」
「あら不思議」
「子どもの頃わくわくしませんでした?」
「そんな理由でシャボン玉にわくわくしたことはなかったわね」
「もしも本当に屋根飛ばせたら最強武器ですよね」
「あなた子どもの頃屋根に向けて飛ばした口ね」
「現実はそう上手くいきませんよね」
「破壊衝動かなにか抱えてるの?」
「知的探究心と言ってください」
「いまなら屋根飛ばせるか試してみる?」
「私の家に向けてシャボン玉飛ばすのやめてくださいよ」
「屋根は飛ばないから安心しなさい」
「万が一があるでしょう」
「ないわね」




