春雨さんとデジタルカメラ
「今日はデジタルカメラ持ってきたの」
「スマホで充分でしょ」
「完」
「あーすみません終わらないでくださいデジカメいいですねデジカメ」
「やっぱりレンズ越しに覗き込む感じがいいわよね」
「でもなに撮るつもりですか」
「あなた」
「完」
「写りたくないからって勝手に終わらせないの」
「嫌ですよ私カメラ嫌なんですよ」
「大丈夫よ怖くないわ」
「写るのが恥ずかしいんですよ」
「大丈夫よイイ体してるわ」
「エロオヤジみたいな言い方しないでください」
「一枚だけでいいから」
「わかりましたよ。さあお好きにどうぞ」
「だからといって無表情でピースはやめてくれないかしら」
「じゃあどうすればいいんですか」
「自然体でいいわよ。あそこのベンチで本読んでて」
「目線は?」
「向かないでいいわ」
「なんだか複雑な気分だ」
「はいチーズ」
「はい」
「上手く撮れた気がするわ」
「見せてください」
「……」
「……」
「なんだか微妙ね」
「だから嫌だったんですよ」
「やっばり野良猫とかお花とかを撮るようにするわ」
「私にも一枚撮らせてくださいよ」
「どうぞ」
「じゃあいきますよ」
「あら、わたしを撮るの?」
「さっきのお返しです」
「仕返しでしょ」
「はいチーズ」
「うふ」
「凄く満面の笑みだ……」
「見せて」
「綺麗に撮れてますよ」
「あら、でも隅っこになんだか霊のようなものが」
「え。あっほんとだ……!」
「まあそこは切り取っちゃえば問題ないわね」
「霊も泣いてますわ」




