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春雨さんと固定挨拶

「おはようございます」

「? おはようございます」

「こんにちは」

「こ、こんにちは」

「こんばんは」

「こんばんは」

「おやすみなさい」

「……おやすみなさい」

「このように基本的な出会いの挨拶があるわね」

「おやすみなさいはその分類に入らないんじゃ」

「それぞれ時と場合によって使い分けるわよね」

「まあ基本的にはそうですね」

「でも人によっては固定挨拶も存在するのよ」

「固定挨拶……」

「おつかれさまですなんて固定挨拶としては便利よね」

「春雨さんからそんな挨拶聞いたことないですけどね」

「だってわたしの固定挨拶はごきげんようだもの」

「なんて麗らかな固定挨拶」

「結構肩がこるのよこれ」

「いい加減周りの固定観念をぶっ壊してやればいいのに」

「みんなにとってのわたし理想像を裏切ってはいけないの」

「私に対しては裏切ってばかりですけど!」

「あなたは別腹みたいなものよ」

「人をスイーツみたいに……」

「あーお腹すいた」

「お腹をくるくる鳴らすお嬢様ってどうなんですか」

「あなたの前ではわたしはただのわたしよ」

「略してたわしですか、ふふ」

「あなたバカなの?」

「春雨さんは私に厳しい」

「もう、話が逸れたわ。ソレスギータわ」

「ピザみたいな言い方を……」

「あなたには固定挨拶がないのよ」

「普通はないと思いますけど」

「あなたには普通を超えてほしいのよ」

「前も聞いたなこのフレーズ」

「というわけであなたの固定挨拶を考えちゃいました!」

「えっ私が考えるんじゃなくて?」

「いつもあなたの理想通りにはいかないの」

「理想を抱いてこそ私なのに……」

「あなたの固定挨拶は『ぷちとばすぞぉ!』です!」

「頭から終わりまで酷いしダサい」

「隅々まであなたにぴったりだと思うんだけど」

「なにをもってこんな挨拶に……」

「あなたの目つきが怖くて可愛いのがいけないの」

「ええーそんな怖いですかね」

「コワカワイイのよ。だからぶっとばすぞを可愛くしたの」

「あなたの口からぶっとばすぞを聞きたくなかった」

「ねえねえ試しに固定挨拶言ってみて」

「断固として嫌ですよ。間違えてプチトマトって言いそうですし」

「それはどうかと思うの」

「ほんと厳しいなあんたは!」

「今日だけでいいからー」

「わかりましたよ。でももう帰り道だから別れ際しか言いませんよ」

「人通りの多いとこ行きましょうか」

「それこそぷちとばすぞ」

「そんなこと言ってる間にもうお別れだわ」

「無駄に疲れた……」

「それじゃあごきげんよう」

「ぷちとばすぞぉ!!」

「こっわー」

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