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春雨さんと散歩
「最近よくお散歩するの」
「知ってます」
「大きな公園をまわってみたり、あてもなく適当に歩いたりしてるのよ」
「知ってます」
「そうするとね、いままで知らなかった素敵なスポットが見つかるの」
「知ってます」
「小さくてたくさん並んでる噴水とか」
「知ってます」
「ねこさんのたまり場とか」
「知ってます」
「いろいろな発見があって楽しいわけ」
「知ってます」
「おかげで少し足腰が強くなったわ」
「知ってます」
「あなたは知りすぎてしまっているようね」
「いや、そもそも一緒に散歩してますし」
「知ってるわよ」
「そもそも春雨さんが誘ってきたんじゃないですか、一人じゃ寂しいからって」
「知らないわね」
「言ってたじゃないですか」
「わたしが言ったのは一人じゃつまらないからよ」
「似たようなもんでしょ」
「全然違うわ。カツ丼と豚カツぐらい違う」
「どのみち私がいないと嫌なんですよね?」
「うん」
「知ってました」




