春雨さんと秋の日はつるべ落とし
「秋の日はつるべ落としってことわざがあるわね」
「秋は日が暮れるのが早いって意味ですね。いまは春ですけど」
「良い響きよね。かっこいいわ」
「風情がありますよね。いかにも季節のことわざって感じで」
「正に必殺技! って感じね!」
「は?」
「つるべ落としってところが必殺技っぽいの。しかも秋限定なのよ」
「限定ですか」
「秋にしか使えない必殺技。それが秋の日はつるべ落とし!」
「風情もへったくれもなくなりましたが威力のほどは?」
「試してみる?」
「いま春ですけど」
「春の日はかかと落とし!」
「うわ危ないな! ロングスカートでも見えちゃいますよ!」
「見たの?」
「春雨さんの足が全く上がってないので見えてません」
「見ようとはしたの?」
「春がそれなら夏はなんなんですか?」
「夏の日はこけら落とし!」
「冬は?」
「冬の日はつけ落とし?」
「なんで冬だけ自信ないんですか」
「秋の日はつるべ落とし!!」
「いってぇ!!!」
「これぞつるべの如く刹那の振り下ろし!」
「意味不明だしただのチョップだしいま春だし!!」
「ごめんね」
「謝りながらなでられたら許すほかないですね」
「単純ね」
「春関係なくかかと落としするぞ」
「お詫びにジュースとアイス奢ってあげるわ」
「落としどころとしては完璧!」
「おあとがよろしいようで」