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07パーティー活動

 



 施療院の仕事を始めてから順調に格★が上がっていき、現在「司祭」★★★★まできた。絶賛リーチ中。もう位階UPは目前だ。


 フィールドの方もわりと順調っていうか、かなり順調で……実は、報告がひとつある。


 この間、まだソロ活動中だって言ったばかりだったが、この度、いいご縁があってパーティ活動を始めることになったんだ。



 *



 そうなんだ。出会いっていうのは意外なところにあるもので、お気に入りの【疾風のブーツ】、これがきっかけになった。


【疾風のブーツ】はプレイヤーメイドで、注文してから作り始める、手の込んだオーダーメイド品だった。だから、デザインや性能が良くて自分にぴったりくる代わりに、値段も相応に高い。


 なので、購入に当たっては何回か注文を受注するお店に通い、作成者の皮革職人さんにも会って相談を繰り返した。そしたらなんかその人と気があって、フレンドになったんだ。


 ある時、そのプレイヤーから、生産仲間と一緒にフィールドに行かないかって誘われた。生産メインの生産職だけの臨時パーティだって。それは、俺にとってはとても都合がよかったから、もちろん即OKしたよ。


 パーティメンバーは俺を入れてこの6人になる。


 ・ジン [皮革職人] 剣術


 ・トオル [細工職人] 弓術


 ・キョウカ [裁縫師] 槍術


 ・アーク [薬師] 水魔術 風魔術


 ・ガイアス [鍛冶師] 斧術


 ・ユキムラ [司祭] 棒術


 見ての通り、だいぶ物理よりだけど、パーティバランスは悪くないんじゃないかな。


 薬師の人と役割が被るんじゃないかって心配をしたが、アークには、魔法のスキルレベルが停滞してしまっているから魔法をブッパしたいって言われて、支援スキルのレベルを上げたい俺にとっては、とてもありがたい話だった。


 パーティ活動は楽しくて、時間が合う時は誘い合ってよく行くようになった。


 なんと、俺以外は全員β版経験者で、みんなISAOのことをよく知っていた。そして、全員が生産職をとても楽しんでいて、快く俺にもいろんな情報や知識を教えてくれたんだ。



 ……いい人たちに巡り会えてよかった。本当にそう思う。


 そうそう、パーティ活動をするようになったから、ひと枠残ってた選択スキル枠に【S解体I】をとった。


 パーティのみんなに素材を融通する代わりに、割安で装備を作ってくれるって言われたからだ。俺は、素材よりもお金や装備が欲しい派なので、win-winの関係ってやつだね。




 *-----*-----*-----*-----*-----*-----*




 目の前に、暗緑灰色と濃紫色の斑に染まった沼が広がっている。



 久し振りに全員が揃ったので、冒険者ギルドで「睡蓮沼の調査」っていうパーティクエストを請けて、南の湿地帯にある該当の沼に来ている。


 現地に着いて辺りを見回すと、以前は茂っていただろう植物はことごとく枯れ果てていて、睡蓮沼と呼ばれていた面影はほぼ残っていない。



「随分と様子が変わっちまったな」


「なんか、色からして汚くなっていて毒っぽい。プクプクと変な気泡が出てるし」


「何が原因でこうなったかね」


「やばい生き物が住み着いた。やばいモノが投げ込まれた。とか、 そんなところ?」



 試しに【Sフィールド鑑定I】で見てみると、〈睡蓮沼 状態:汚染〉と出た。


【Sフィールド鑑定I】は、なかなかレベルが上がりにくいスキルらしくて、意識して使うようにはしているが、まだレベルはIのままだ。



「睡蓮沼 状態:汚染 原因:複合要因。汚染度 100% って出てる」



 アークは【Sフィールド鑑定II】を持っている。俺より詳しいのはそのせい。複合要因……うーん。漠然とし過ぎていて、考えても何も思い浮かばない。



「取りあえず採取だね。浅いところと深いところ。何箇所か採ろう」



 アークがアイテムボックスから、準備よく紐付きの採取ビンを幾つか取り出した。


 この始まりの街の南西にある湿地帯は、調査クエストの目的地として割りとポピュラーな場所だ。周辺地域の採集を兼ねながら依頼を遂行できるため、時々引き受けているそうだ。


 警戒しながら採取ビンを沼に沈める。


 しばらく待って、


「もういいかな。ビンを引き上げよう」


 というアークの声がかかったので、紐を引っ張り上げるべく力を込める。


 かなり重い。


 ペットボトルサイズのビンを引き上げるのに相当な力が必要だった。


「こっちは持ち上がらないぞ。すごい抵抗だ。重い」


 俺と同じく深い位置にビンを投げ入れたトオルさんが、やはり苦戦しているようだ。自分のビンをアークに回収してもらって、すぐ応援に行く。


「ちょっと貸してもらってもいいですか?」


 紐を預かって、思いっきり力を込めると、何とか引き上げることができた。


「見かけによらず怪力だな」


「加護のおかげですよ。水汲み限定ですけど」


 井戸妖精の加護だけど、他の「水汲み」作業にも若干補正がかかるみたいだ。お得だね。



 *

 *

 *



 全て回収し終わったので、狩りと採集をしながら冒険者ギルドに戻った。



 ……が、これで一件落着とはいかなかった。


 というのも、南の湿地帯にある幾つもの沼が、睡蓮沼と同じように次々と汚染されていったからだ。原因はまだ解明されていない。


 そして、いつものように施療院で仕事をしていると、突然アナウンスが来た。



 《ポーン!》



 ワールドアナウンス!?



 《汚染状況が一定レベルを超えたので、緊急イベント「湿地帯の主を倒せ!」が開始されました。》



 緊急イベントだって!?



 《「湿地帯の主を倒せ!」はレイドクエストです。プレイヤーの皆様は、力を合わせて汚染の原因である湿地帯の主を倒し、汚染された湿地帯を回復させて下さい。イベント詳細は「お知らせ」をご確認下さい。》



 緊急イベントか。今までにも何回かあったみたいだけど、パーティ単位で消化できるものばかりで、レイドクエストは初めてだと思う。


 もちろん俺は、今まで緊急イベントに参加したことはない。


「神殿」の仕事が忙しかったのもあるけど、ボッチだったから参加できなかったというのが大きな理由。



 今回はどうしよう。みんなは参加するのかな?




 *-----*-----*-----*-----*-----*-----*



 [ユーザ名]ユキムラ[種族]人族 S/Jスキル空き枠 0

 [職業]正司教(格★)

 [レベル]47

 [HP]300 [MP]170 [GP]700


 [STR]65【55装備】=120

 [VIT]95【55】=150

 [INT]55【30】=85

 [MND]270【80】=350

 [AGI]65【65】=130

 [DEX]75【0】=75

 [LUK]60+【10】=70

 Bonus Point 0


【戦闘支援】身体強化 精神強化 属性強化

【結界】結界 範囲結界 拠点結界

【浄化】浄化 範囲浄化 聖属性付与

【状態異常治癒】毒中和 麻痺解除 混乱解除

【回復】回復 範囲回復 持続回復


【JP祈祷 III】

【J教義理解III】【J聖典朗読III】【J説法I】【JS疾病治療III】【J聖典模写III】【J聖水作成III】


【P頑健 II】

【S棒術III】突き 打撃 薙ぎ【S生体鑑定II】【Sフィールド鑑定I】【S解体II】


【速読III】【筋力増強II】【調理III】【気配察知II】【暗視II】【清掃II】


【聖神の加護III】【井戸妖精の友愛】


 《装備》

【司教のローブ】【六尺棒(魔銀)】【疾風のブーツ】【神官服】【魔狼の胸当て】

【魔銀のガントレット】

 《アクセサリ》2/10

【聖典★★★】MND+30 耐久∞

【慈愛の指輪】MND+15 LUK+10 耐久∞

※以下の項目は、読者の方からご質問があった点についての返答になります。


◆パーティ活動について


主人公パーティは、この時点では始まりの街を拠点にしていて、日頃はそれぞれの生産活動をしていることが多いです。もちろん主人公は、神殿でお務め。

近くに狩りに行く・街を移動する、・どこかへ遊びに行く…時に、誘い合って行動を共にしています。


パーティで狩りをした時は、市場の相場を参考に獲物の分配をしています。それぞれ素材として欲しいものが異なることが多いので、物々交換が成立しなければ、金銭で売買することもあります。


個人で狩りをした獲物を安く融通して、代わりに装備やアイテムを割引してもらう際には、素材提供側(主に主人公)ばかりが損をしない様に、メンテナンス(修繕)費用をサービスしたり、装備作成[カスタムメイド]に高級素材を用いたりして、差額の埋め合わせをするようにしています。


※カスタムメイド: 通常レシピを用いず、アレンジレシピで作成すること。ステータス補正を、より希望に寄せることができ、デザインも変えてもらうことができる。

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