表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/97

49 シークレットクエスト

 



 今日もお勤め。神殿で。



 第四陣が参入して少し経ち、みんな忙しくなってしまった。


 何しろ第四陣は5万人。2つに分けて2段階参入したけれど、それが効いたのは最初だけ。現在、市場での生産品の需要は爆上がりだ。


 工房設置で消費したGを取り返すべく、みんな凄い勢いで生産に邁進している。



 じゃあ俺もってことで、厨房に篭って【調理X】三昧、【J聖餐作成VII】三昧をしていたのがいけなかった。


 目的があって作り始めたわけじゃないから、最初は買い込んでいた手持ちの材料を消費して、賄いや各種ステータスのバフ菓子を作っていたんだが、それなら【聖餐作成】でMND+のパンや焼き菓子を作ってくれと、クラウスさんに頼まれた。


 うん。みんなが食べたいのならやるよ。って、気軽に引き受けた。


 ところが、俺が厨房にいると、小麦粉やバターや砂糖などの材料が途切れることなく補充される。


 さすがにおかしいんじゃないかと、出来上がった菓子類の行方を聞いてみたら、なんと、綺麗にラッピングされて神殿の物販所で販売されていた。



「信徒の皆様に大変人気がございまして、おかげさまで参拝にいらっしゃる方々も増えております。さすがは神殿長様でございます」



 ……と、クラウスさんに言われてしまい、やめるといいにくくなってしまった。


 俺、一応ここの長みたいだし、給与も貰っている。経営とかはもちろん考えたことなんてないが、スーパーNPCであるクラウスさんがそう言うのなら、ゲーム的には合っているんだろう。



 そうして、施療院が暇な時には、狩りにも行かずに厨房にいる日が続いた。


 なぜこうなった……。


 俺が生産活動に励んでいる間、メレンゲと爺さんの妖精2人組は、オヤツ三昧だ。俺は調理三昧。


 ……いいな、お前ら。


 いくら食べても太らないし、虫歯にもならないなんて羨ましいって思っていたが、ある日のこと、2人の様子がおかしくなった。


 やっぱり制限なくバフ菓子を食わせちゃ駄目だったのか?って青くなっていたら、




 〈変身ーーーーー!キラーンッ!〉(本当に光った)




 《御使い妖精》

 名前[メレンゲ]レベル2[HP]10[MP]10

【御使い妖精の服】MND+10

【渾天のドレス(翼)】MND+20 耐久∞ ※ランキング報酬・特別装備

【妖精の接吻IV】MND+40 ※聖属性スキルの効果上昇(中)

【天空の綺羅星I】MND+5 LUK+5 ※神威上昇効果(小)



 《聖妖精ユールトムテ》

 名前[サン・ニコラ]レベル1[HP]5[MP]5

【素敵な赤い帽子】MND+10

【橇・ユールボック(藁のヤギ)】DEX+20 LUK+10 耐久∞ ※ランキング報酬・特別装備

【聖夜の贈物III】LUK+30

【トムテの親愛】DEX+30 生産スキルに+補正(中) ※生産品のレアリティ上昇・成功率上昇

【聖なる美食I】MND+5 LUK+5 ※食関連スキルに+補正(小)



 メレンゲが《色妖精(白)》→《御使い妖精》に変わり、


 名前欄さえ無かった爺に、「サン・ニコラ」って名前がつき、

 《妖精ユールトムテ》→《聖妖精ユールトムテ》に変わった。


 2人とも初期装備が更新されてるし、スキルレベルも上がり、新しいスキルが増えている。聖属性に、より特化したってことか?ちょっと燐光のキラキラが増えている気がするし。


 メレンゲのスキル説明の「神威」っていう効果がよくわからないが、響きからして職業上プラスになるものなのだろう。



 しかし驚いたな。妖精って進化?するんだ。


 きっと他の属性も同じだろう。かなりの量のバフ料理をあげる必要がありそうだが、装備枠を消費しないでこれだけステータスがあがるなら、いいんじゃないだろうか?


 みんなにも知らせておこう。




 *-----*-----*-----*-----*-----*-----*




 そして引き続き、【J聖餐作成】に励んでいたら、とうとうレベルがMAXになった。


 俺、どんだけ作ったんだ?


 そうしたら、クラウスさんがこんなことを言ってきた。


「ここまで研鑽なさるとは、さすが神殿長様です。これも神のお導きによるのでしょう。実は、この領域に達した上位神官の方に、お渡しすることを定められている伝承『レシピ』がございます。ここに持って参りましたので、お納め下さい」


「レシピですか?」


「はい。この『レシピ』を完成させることができた時、『神の天啓』が示されると言い伝えられております。良い結果に辿り着けるよう、心よりお祈り申しております」



 《ピコン!》



 《【**のレシピ】を入手しました。


 これにより、連続シークレットクエスト『**のレシピ』に参加できます。


 参加しますか?


 ※このクエストの失敗によるペナルティはありません。》



 →[参加]


 →[不参加]



 ペナルティがないなら、参加だよな。ポチッと。



 《連続シークレットクエスト『**のレシピ』に参加しました。クエストの進行状況は、タッチパネル上の[参加中クエスト]バナーより確認できます。》



 なになに。[参加中クエスト]…あった。ポチッ。



 ◆連続シークレットクエスト『**のレシピ』

  進行状況 : クエスト① 未達成 0/5


 クエスト① レシピの材料を全て集めよう。

  ➕楽園の花蜜

  ➕ヒソプの朝露

  ➕神銀の林檎 [落果実]

  ➕ウルズの泉水

  ➕神餐水

  ➕採取にあたっての諸注意



 ……えっと。



 見たことのないものばかりじゃないか。どこにあるんだこんなの?


 いったいどこから手を付けていいのか、それすら見当がつかない。困ったな。


 !?


 ➕これ、ツリーになってる?


 ポチっと展開。……できるじゃん。全部展開。ポチポチポチポチ……。



 ➖楽園の花蜜 /使用量: 小匙1

    ➖楽園草の花の蜜

      ➖常闇の野に咲く花


  ➖ヒソプの朝露 /使用量: 3滴

    ➖古代草ヒソプの葉に降りた朝露

      ➖遺跡で見つかることがある珍しい草


  ➖神銀の林檎[落果実]/使用量: 1個

    ➖枝から自然落下した神銀の林檎。未成熟だが瑞々しく爽やかな芳香を伴う。

      ➖天界にある神銀の木に実る林檎。霊峰の頂きに落ちることがある。


  ➖ウルズの泉水 /使用量: 聖餐鉢1杯分

    ➖ウルズの泉の水。ユグドラシルを潤している。

      ➖ユグドラシルの根の直下にある三泉のひとつ

        ➖ミーミルの泉・ウルズの泉・フヴェルゲルミルの泉の三泉


  ➖神餐水 /使用量: 聖水瓶3本分

    ➖神に供される霊水

      ➖究極の聖水

        ➖高位聖職者だけが作成できる。


  ➖採取にあたっての諸注意

  採取する際、花や草を傷めてはいけない。対象物だけを採取すること。

  液状の採取物は聖水瓶に採取する。固形の採取物は聖餐器に採取する。

  ※【植物図鑑】【アイテム図鑑】に採取物の[知識]が追加されるので参照のこと。




 *-----*-----*-----*-----*-----*-----*




 どこから手をつけるか迷ったが、まず手近なところから。

 移動しなくてもできる聖水作りをすることにした。


 いろいろ試して分かったのが、


 消費GP/1本あたり

 GP 20 聖水

 GP 100 上級聖水

 GP 500 超級聖水

 GP 2500 神級聖水


 この「神級聖水」っていうのが、神餐水かと思ったら、違ってがっかり。


 この法則でいうと、次の等級のものはGP12500になるんだが、そんなのは到底無理だ。装備を強化して妖精もパワーアップしたが、俺のGPは現在5000強。



 ……ものは試しだ。とりあえずやってみるか。もちろん、フルパワー。


 5000GPぶっこみだ!



 そしてできたのが、これ。


 [究極聖水(神餐水)]


 うん。できた。出来ちゃったじゃん。



 5000GPを一気に投入した際、作業場どころか大神殿の外壁を越えて、辺り一帯が神々しい白光に眩く輝き、


「大神殿に神が降臨された」


 って、NPC信者が詰めかけて騒ぎになった。(……平常心だ、平常心。)


 それはもう見なかったことにして、必要な3本分を作り上げることができた。




 そして、次に着手したのが、[楽園の花蜜]。


 ツリー下の詳細説明で、楽園草の花の蜜・常闇の野に咲く花とあったからだ。

 更に、【植物図鑑】に追加された内容を見ると、


 ・[楽園草]

 常闇ダンジョン深層の野原に生える草。花が咲くと淡く銀色に光る。

 数株単位で群生し、順番に開花するが、開花後10分ほどで枯れてしまう。外観は夜光花に似るが、光の色で区別ができる。


「常闇ダンジョン」


 随分ご縁があるな、このダンジョン。俺にとってはソロで気軽に行けるダンジョンのひとつ。


 常闇ダンジョン深層というと、おそらくグールのいる地下16-20階を指すのだろう。地下21階はボス部屋しかなかった。地下17-18階辺りに野原があった気がするんだが……。



 早速出かけるか。



 *

 *

 *



 《常闇ダンジョン地下17階》



 あった!やっと見つけた。


 地下17階を一掃しながら、足元に銀色の光がないか探し回った。


「花や草を傷めてはいけない」


 って、わざわざ注意書きがあるんだ。踏んでしまったら大変だと、かなり神経を使った。


 しかし、なかなか見つからないんだ、これが。咲いたら10分で枯れるっていうのがネックなんだよな。



 そして、やっと見つけた[楽園草]。


 銀色の光だ、間違いない。


 念のため、[拠点結界]を張ってから、蜜の採取を始めた。


 銀光を伴った、長径2cmくらいの釣鐘型の白い花が、やや上向きに咲いている。首を折ってしまわないようにそっと触れ、聖水瓶の口を当てながら、花を下に傾けた。


 ポロン、ポロロン♪


 と、銀色の蜜が滑るように瓶の中へ落ち、花は光を失った。


 瓶の蓋を閉め、新しい瓶を取り出す。


 念のため、ひとつひとつ分けて採取しようと思ったからだ。数分待つと、隣の花の蕾がぼんやりと光り始め、緩やかに開花していった。



 *

 *

 *



 地下17階の後、更に地下18階も捜索して、[楽園草]合計37本分の蜜を集めることができた。『レシピ』には、使用量小匙1杯分とある。


 ギリギリか、ちょっと足りないくらいか?


 ついでだからと、地下21階のボスを倒しに行った。気になることもあったしな。




 ボスを問題なく倒し、祭壇の奥の壁を調べると……あった。


 まだあるじゃん、俺の「聖霊石」。


「聖霊石」に触れると、壁が下がって階段が現れた。



 よし、行くか。



 *



 念のため、祭礼の時のように聖句を唱えながら通路を進むと、通路際にぼんやりとした光りがあった。


 ……やっぱり。


 あの時は[夜光花]だと思い込んでいたが、これ、[楽園草]じゃん。



 詠唱を続けながら瓶を取り出し、採取を始める。多い方がいいからな。


 集めながら徐々に進んで行く。以前も思ったが、やたら長い通路だ。そのせいもあって、常闇神殿に着く頃には、結構な数が集まった。


 追加で42本分。合計79本分だ。さすがにこれで足りるだろう。


 ここまで来たんだから、礼くらいしていくかと、祭壇に向かう。手を合わせ、一礼をすると、



 《解放条件をクリアしていません。》



 アナウンス…いったい何のことだ?よく分からないが、ここに何らかのクエストがあるってことか?


 ……まあいい。今は帰ろう。


 帰り途、新たに咲いていた[楽園草]からまた採取して、結局105本分集めることができた。




 *-----*-----*-----*-----*-----*-----*


 ◆連続シークレットクエスト『**のレシピ』


 進行状況 : クエスト① 未達成 2/5

 クエスト① レシピの材料を全て集めよう。

  ➕楽園の花蜜 [クリア!]

  ➕ヒソプの朝露

  ➕神銀の林檎[落果実]

  ➕ウルズの泉水

  ➕神餐水 [クリア!]

  ➕採取にあたっての諸注意



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆漂鳥の作品☆

   

異世界ファンタジー
代償θ〜転生に出遅れたけど、才能溢れる大貴族の嫡男に生まれたので勝ち組かもしれない 精霊に愛される転生者の物語(カクヨム )

   

ハッピーエンドラブコメ
この男に〈甘い〉世界で俺は。〜男女比1:8の世界で始める美味しい学園生活〜 ラブコメver.

   

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ