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「不屈の冒険魂」 [ISAO]The indomitable spirit of adventure online【Web版】  作者: 漂鳥
第2章 第二・第三の街

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17 鉱山へ行こう

 



 始まりの街の南方は湿地帯になっていたけど、第二の街ジルトレの南方は山岳地帯になっている。そして俺たちは今、その山岳地帯にある鉱山ダンジョンを目指して、狩りをしながら移動中である。



「おっ! 亀また居た! ちょっと突っついて来るね」



 〈ドゴン! ドゴン! 〉先ほどから、丸っこい甲羅を持つ亀を見つける度にこうして倒している。ドゴンドゴン鳴っているのは、スキル技を使った時の効果音だ。


 亀が危険を察知して甲羅の中に頭を引っ込める前に、その頭に狙いを定めて棒で素早く強く突く。一撃じゃ無理だけど、[連撃]のスキル技を使うと、一回の攻撃で倒せる。


 もう1匹居た。


 〈ドゴン! ドゴン! 〉


 たまに失敗すると、ビリヤードの玉みたいに亀がすっ飛んで行ってしまうけど、それはご愛嬌だ。


 うーん。楽しい。



 この間のレベル上げで、みんなと「墓陵ダンジョン」に行ったとき、【棒術】も鍛えてみたんだ。


 というのも、墓陵ダンジョンによく出てくるスケルトンには、[打撃脆弱]って特性がある。


 レイド報酬で手に入れた【金牙狼】は、打撃によるダメージが増える効果がついているので、ここぞとばかりに使ってみたら、スケルトンには非常によく効いた。


 うん。墓陵ダンジョンで無双してたのは俺です(盛り過ぎ)。


 それでスキルレベルが上がって【S棒術IV】になったら、「連撃」っていう「スキル(アーツ)」が出てきたんで使ってみたら、これがまた楽しい。


 このエリアにゴロゴロいるグリーントータス(某配管工ゲームの亀に激似)は、丸っこい緑色の亀なんだけど、一度の連撃でピコピコってなって倒せてしまう。


 ふっふっふ。


 ここでも無双(だから盛り過ぎだって)。



「無邪気な大司教様だな。あの姿をNPCに見られたら、信者の数が減るんじゃないか?」


「本当ね。でも、ちょっとくらい減った方が丁度いいのかも。この間、治療待ちのNPCの行列を見かけたけど、あれは長過ぎでしょ。ユキムラさんも、やっと休みが取れたって言っていたし」


「ゲームでブラックとか……やだやだ」


「ガイさんだって他人事じゃないんじゃないの?街に着いてすぐに、鉱石を山ほど仕入れたと思ったら、ずーっと鍛冶場に篭って打ってるし。さらに、それでも足らずにこうして鉱山へ向かっているわけだし」


「だってよお。石の宝庫なんだぜ、この街。材料の兼ね合いで、今まで作れなかったものもいろいろ試せる。そりゃあ、鍛冶師の血が騒ぐだろう」


 新しく移ってきた第二の街ジルトレは、その立地も影響して、かなり生産職向けの街であることが分かった。特に鍛冶師にとっては、仕事に必須の素材である各種鉱石が採れる鉱山ダンジョンが近くにあるため、鉱石の流通が盛んで、生産者ギルドも活況を呈していた。


「確かに新しい街っていいよな。新たにレシピがいくつか手に入ったし、手に入る道具の質も上がったから、GRADEの高いアイテムがサクッとできるようになったよ」


「俺たちのレベルが上がったのもあるけどね」


「だな。レイドと墓陵ダンジョンでかなり上がったからな。墓陵ダンジョンなんて、まるで姫プレイだったし。パワーレベリングみたいでちょっと申し訳ない気がしたよ」


「ユキムラも楽しんでいたみたいだからいいんじゃないか?」


「まあな。【浄化】をかけられて、みるみる溶けてったもんな、アンデッドたち。この場合、成仏っていうのかな?大量湧きしたゴーストなんかいい標的だったし。あれは見ている方もなんか気持ちよかったぜ」


「さすが神官よね。アンデッドとは本当に相性がいいのね」


「ただ素材がな。皮革が残らないっていうのがな」


「まあ、ジンにとってはあまり美味しいダンジョンじゃなかったわよね。でも次は東の高原で牛狩りだし、皮も肉も沢山手に入るじゃない。楽しみにしてて! 」


「牛って聞いたら、また食べたくなってきた。マジ美味かったよ『牛テールのシチュー、ジルトレ風』」


「ああ、このゲームやってて良かったって思ったよ、あれ食った時」


「同感。でも、いったいどういう仕組みなのかしら?実際に食べてるわけじゃないのに、あの味覚。太らないから大歓迎だけど、あんな『洋食屋さんの味』をゲームで再現されちゃったら、みんな現実に戻っても普通の味じゃ満足できなくなるんじゃないかしら」


「だから、VRでの味覚を規制しようって動きもあるらしいよ」


「それについては、分からなくもない。ちゃんとした食事はVRで。ご家庭では栄養食品を。なんてなったら、食材店も飲食店も軒並み潰れちゃうもんな」


「何事もほどほどがいいんでしょうね。消費者としては、美味しい方が嬉しいけど。さて、ユキムラさんも戻って来たし、どんどん行きましょうか」



 こうして、順調に鉱山ダンジョンに着いた俺たちは、各種鉱石をがっぽり稼いで、ホクホク顔でジルトレに戻った。


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