第6話 消滅!首都東京!!
ガブリエルの高出力長距離ライフルの一撃で東京は消滅した。天使の急襲によって、避難行動が間に合わなかったこともあり、東京に暮らす約1,000万人が一瞬で犠牲になっただけでなく、ビームの衝撃で巻き上げられた土砂やがれきが周辺都市に降り注ぎ、被害は千葉、神奈川などの他の県にも及んだ。政府中枢も例外ではなく、官僚、閣僚のほとんど全員が犠牲になり、ここに首都、東京は壊滅したのだった。
山根は草木ひとつ、生命の痕跡すら残っていないかつて東京であったクレーターを眺めていたが、ある異変に気づいた。土砂によってせき止められていた川の水が流れ込み始めていたのである。山根のいた司令部はクレーターの底部に位置するため、水没するのは時間の問題だった。山根はすぐに司令部に戻り、部下達に叫んだ。
「すぐに救援を呼べ!!ここはすぐに水没するぞ!!」
電源も落ち、通信もままならない状況であったが山根はそれでも非常用の信号弾を探し出し生き残った部下達と共に司令部を脱出した。
荒涼としたクレーターに姿を変えた東京を見た司令部の面々は、皆膝を折って崩れ落ちた。
「なんで・・・こんな・・・」
オペレーターの一人が拳を力なく地面に振り下ろした。
「今は絶望するより、生きることだけを考えるんだ。」
山根は信号弾の入った銃を上に向けて構えると引き金を引いた。小さいが、山根達にとっては命綱ともいえる信号弾の光が細くちいさく伸びていった。
偶然、山根の放った信号弾をすさのおの艦載機、AV-8J2ハリアー改が発見した。ハリアーは山根達の無事を確認するとすさのおに救援の要請を打電した。
すさのおから連絡をうけて東京湾に展開していた、改そうりゅう型護衛艦、「うんりゅう」から直ちに3機のSH−60Kが飛び立った。山根達に水がせまる寸前、山根達は到着したSH-60Kに助け上げられた。最新鋭ヘリコプターのSH−60Kはすさのおまで山根を運ぶと、山根らはすさのおに臨時司令部を設置した。
「東京の仇は、このすさのおでとる!」
山根は天使に向けて静かな怒りと闘志を燃やしていた。