最終話 母なる地球
「やったぁ!」
地上で、宇宙で、月で勝利の凱歌が上がった。地球は今、滅亡から救われたのだった。
「まだだ!!」
山根は叫んだ。
「まだ、一番厄介なものが残っている・・・」
ブリッジの全員は息を飲んだ。ヴァルハラの中で最大の破片が大気圏に突入しようとしているのだ。
「艦首陽電子砲最大出力!!艦のエネルギー全てを使っても構わん!!」
誠は命令を下した。
「桜花さん。艦首砲を最大出力で発射だ!かぐづちとタイミングを合わせるんだ。」
「はい。」
千尋は桜花に命令をだした。
スーパーコンピュータの桜花はたちまちのうちに座標を算出していく。
「撃て!」
二人は同時に叫んだ。2隻のまほろば級戦艦から放たれた最強の一撃がヴァルハラ最大の破片で交差し、炸裂した。破片は四散し、大気圏に突入すると燃え尽きていった。
「やった・・・」
山根は小さく言った。
「人類の勝利だ・・・」
昇は地球で瞬いた最後の光を見た。
人類は滅亡から救われた。だが、その犠牲は大きかった。天使による攻撃で、数億の人間の命が失われただろう。今までは敵と戦うためにその力を使ってきた。しかし、これからは戦うためでなく、人類の復興のために、すめらぎとM機関の力を使わなければならない。思いを胸に、昇はクルーに言った。
「さぁ、皆。地球に帰ろう・・・仲間達が待ってる。」
すめらぎのエンジンが低いうなりを上げた。すめらぎはゆっくりと月の軌道を離れると、地球に向けて、進路を向けた。母なる地球へと・・・
最終話です!ご愛読、ありがとうございました。龍の旗の下にもよろしくお願いします。