第26話 来たれ!運命の時!
「あはははは!地上よ!ヴァルハラの業火で焼かれるがいい!!」
「迎撃だ!できるだけ、敵の攻撃を拡散させるんだ!」
ヴァルハラは地上に向けて百を超えるビームを放った。かぐづち、ちはや、ドラケンはヴァルハラのビームを主砲の攻撃で相殺しようとしたが、数が多く、半数以上が地表の都市に降り注いで都市を壊滅させた。
「まだか!?」
千尋は時計を見た。あと5分。
あと5分ですめらぎが攻撃可能になる。だが、ヴァルハラが本格的に攻撃を開始した今、その5分が永遠に思われた。
「あと5分。あと5分だけヴァルハラの攻撃を止めるんだ!皆!最後の勝負だぞ!!」
山根は全員に檄を飛ばした。地球の衛星軌道上で無数の光芒が瞬いていた。
「すめらぎ。全回路接続完了。」
「まほろばとの主機同調確認。」
「エネルギー順調に充填中。」
「目標を視認。」
オペレーターが攻撃準備が整いつつあるのを昇に告げた。
「よし、皆。もう少しだ。頑張ってくれ。」
山根達の激烈な戦闘は地上からでもはっきりと見て取れた。
8式自走砲改を準備した米沢はその激しい光を見つめていた。8式自走砲改は特殊戦術研究旅団技術開発部長長沼博士のもと改造された、地上唯一の磁力加速自走砲台だった。8式自走砲の砲身長を1.8倍に延長し、磁力加速路に改造されていた。今回はさらに延長砲心を装備し、さらに加速をかけ、衛星軌道上の物体でも迎撃を可能にさせていた。
「山根よぉ。あと少しだ。死ぬんじゃねぇぞ・・・」
「おやっさん!8式自走砲改、発射準備完了です。いつでも撃てます!」
「あと2分待て!・・・いよいよこれからだぞ。」
部下に言われ、米沢は8式自走砲改の制御室に入っていった。
長大な砲身が、天を向いてそびえ立っていた。
「あと10秒、9、8・・・」
ヴァルハラの激しい攻撃をかわしながら、千尋は桜花が表示したカウントダウンを見つめていた。
「5、4、3・・・」
誠もバリアーでヴァルハラの攻撃に耐えながら数え続けていた。
「2、1・・・」
山根もカウントを続け、そして運命の時は来た。