第25話 難攻不落!ヴァルハラの脅威!
「強すぎる・・・!」
おそらく、まほろば一隻では苦戦していただろう強大な天使を何の損害もなく倒してしまった。山根の指揮もさることながら、艦隊を組むということがこれほどまでに効果をもたらすものなのか・・・誠はあまりの戦果に驚きを隠せなかった。
本来ならば勝利の凱歌をあげただろうが、山根はそれを許さなかった。雷閃やX−40ら宇宙戦闘機隊が苦戦を強いられていたからである。
敵の本拠地だけあってヴァルハラの守りは堅く、対空砲火は濃密を極めた。戦闘機隊はそれでも攻撃をかわし、レーザー砲による攻撃を加えたが、ヴァルハラはびくともしなかった。
「化け物め・・・」
X−40隊長のアルフレッド・マクシミリアン中佐が言った。彼らも宇宙戦闘機ならではの高速と機動で幾度となく攻撃を加えていたが、表面の軽微な損害にとどまり、大きなダメージを与えられずにいた。
「戦闘機隊、全機下がれ!!主砲、および艦首砲斉射!!」
山根は戦闘機隊を全機下がらせると、艦隊による砲撃を与えた。しかし天使を倒した一撃も天使の基地には通用しなかった。主砲の一撃も、艦首砲の超高出力レーザーも巨大なヴァルハラの前では何の意味も持たなかったのである。
「あははは・・・ラファエルを倒したことは誉めてあげるよ。けれど、このヴァルハラはその程度の攻撃何か効かないよ。」
ヴァルハラの制御機を兼ねた天使ミカエルのコクピットでミカエルは冷然と笑った。
「さて、攻撃を受けてばかりというのも興がないね。そろそろ攻撃させてもらうよ。」
対空防御にのみ徹していたヴァルハラが全ての砲門を開いた。
「全機、回避!!!」
山根が言うが早いか、ヴァルハラから数千本のエネルギービームが放出された。それは攻撃部隊だけでなく、地上にも容赦なく降り注いだ。エネルギービームとは言え、一発一発が都市を壊滅させるほどの威力である。地上に向かったビームの大半はバリアーシステムによって受け止められたが、バリアーシステムもその負荷に耐えきれず、ことごとく爆発、四散した。
「まずい!大陸が無防備に!!」
バリアーを失った地球上の各都市はヴァルハラの攻撃に対し無防備になってしまった。