第24話 ラファエル対まほろば艦隊
天使ラファエルは七大天使の中で接近戦を主眼において設計された機体だった。ラファエルはかぐづちとちはや、ドラケンの主砲をぎりぎりでかわすと、かぐづちの真正面に立った。
「これが旗艦だな!?沈め!!!」
かぐづちのブリッジめがけ、ラファエルは二丁のハンドガンを構えた。
「今だ!!」
「撃て!!」
山根の指示に従って千尋はちはやの主砲を発射した。山根は攻撃をかわされるのを承知でかぐづちを囮にしたのである。ちはやの51cm高出力レーザー砲の一撃がラファエルに命中した。ラファエルは絶妙のタイミングで与えられた一撃を回避することが出来ず、レーザー砲の直撃を受けた。
「ちっ!」
ラファエルは舌打ちした。敵にダメージを与えられないまま、攻撃を受けてしまったのである。バリアーを張る暇もないまま受けた傷はラファエルの想像以上に深刻だった。片腕が吹き飛ばされたのである。ハンドガンやナイフなど、近接格闘用の武器を扱う天使であるラファエルにとって、片腕をもぎ取られたことは戦闘力の半減を意味していた。
もっとも、まほろば級の主砲の一撃を受けたのである。その程度の損害はむしろ軽微だと言えた。
すかさず、山根は重力偏向式レーザーを使った。数百本を超えるレーザービームがラファエルに来襲した。
「こしゃくな!!」
ラファエルはバリヤーを貼りながら再びかぐづちに接近した。
主砲に比べ、レーザーは弾数が多いが、威力は格段に低い。攻撃のことごとくがバリヤーにはじかれた。
だが、ラファエルがかぐづちに届くことはなかった。7枚のフィン状の物体がラファエルの動きを止めたのである。
「なんだ!?これは!?」
コクピットの中のラファエルは操縦桿を動かしたが、びくともしなかった。
ドラケンが持つ独自のシステム。ワルキューレシステムだった。
ドラケンは艦体後部に大型のフィンスタビライザーがマウントされている。それを自在に脱着し、独立機動する兵器として活用する。これがワルキューレシステムだった。巨大な物理攻撃であるが故にバリヤーを突破でき、ラファエルの動きを止めることが出来た。
ラファエルが力の限り抵抗できたのはわずか30秒ほどにも満たない時間だった。
まほろば級2隻から艦首砲の集中攻撃を受けたのである。
「バリアー出力全開・・・くそ、くそぉ!!ミカエル様ぁ!!」
ラファエルの必死の防御も空しく、機体は一瞬のうちに爆散した。