第22話 戦いへの序曲
数時間後、山根はM機関のドッグ型潜水補給母艦、たらちねとの会合を果たしていた。
M機関からもたらされたのは超大型のバリアーシステムだった。まほろばのバリアーを簡易化した超広範囲を覆うバリアーシステムその範囲はユーラシア大陸とオーストラリア大陸を覆うほどだった。山根は外交ルートでバリアーシステムの設置を了承させると、高高度飛行が可能な輸送機、いざなみを全機離陸させ、成層圏でシステムを投下した。
高度2万メートル。等距離で浮遊する円柱同士を結ぶように光の膜が現れた。
その数分後、ヴァルハラから、光の槍がモスクワめがけて突き刺さった。しかし、光の槍はモスクワを破壊することなく光の膜の表面を拡散し、霧消した。
ヴァルハラの攻撃から世界の都市を守ることに成功した山根は、さらに世界中の軍に宇宙を攻撃出来る手段はないか尋ねた。それに応えたのはわずか2カ国だけだった。
アメリカは100機あまりの宇宙往還戦闘機を完成させていた。その名をX-40、世界初の実用宇宙往還戦闘機だった。山根はアメリカに作戦内容を説明すると3日後の作戦開始まで天使の攻撃に耐えるように言った。
もう一国はスウェーデンだった。スウェーデンはまほろばに次ぐ飛行戦艦を完成させていた。名をドラケン。高出力硬X線レーザー砲で武装し、宇宙航行も可能な巨大戦艦だった。
まほろば級に劣らぬ強力な戦力を得た山根達は3日後の戦いの準備をはじめていった。